最高の恋人


 

「また、貴方なの?」

「ボクであったことに感謝することだね、瑠歌」

「嫌よ、貴方は愛鳳ではないもの」


ふい、と顔を背ける瑠歌。
その仕草が可愛らしくて、今日持ってきた特大のお知らせを話す。


「そうだ、瑠歌。いいこと、教えてあげる」

「いいこと…?」

「愛鳳はもう二度と此処には来ないよ。露遊に囚われたからね」

「え…!?」

「Viceのメンバーもまだ知らない極秘事項さ」


瑠歌の美しい赤い瞳から涙がこぼれる。
あの愛鳳が露遊に囚われた。
露遊が愛鳳を愛しているのは知っていた。
だが、囚われてしまうとは。


「いや、いやよ、愛鳳…!!」

「泣いても叫んでも、愛鳳は戻ってこないよ。この洋館の奥深くにいるから」

「奧、深く…?」

「ボクと愛鳳しか知らなかったところ。元々は愛鳳の寝室だったんだけどさ」


瑠歌は愛鳳を思い浮かべる。
ベビーピンクの髪と瞳。
純白の肌、真珠に薔薇を重ねたような頬。
ゴスロリや自分に与えられた制服と同じ服を纏って微笑む姿はさながら真珠の天使のよう。


「……嘘よ、愛鳳…愛鳳うぅ…!!」


瑠歌は泣き始める。
愛鳳に愛してもらえないなんて。
彼女の愛撫は優しくて意地悪でいつも瑠歌の気持ちいいところを的確に探ってきたのに。
その快楽が与えられなくなったら。
悪夢にうなされるしかない。


「閻凰、愛鳳の代わりをして…」

「愛鳳よりも気持ちよくしてあげるよ、可愛い瑠歌」


閻凰は微笑んで、瑠歌を抱きしめた。


Fin...

 
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