真っ二つ心臓


 

瑠実には龍華という恋人がいる。
柔らかな声が何ともたまらないのだ。
それぞれ恋人にうつつを抜かす兄や姉を見ていて呆れていたがどうも恋はそんなものらしい。


「龍華」

「何、瑠実?」

「瑠歌に何か持っていきたいの。瑠歌ったら閻凰が来るとご飯も食べないのだから」


それを聞くと、龍華はキッチンに立ち瑠実を呼んだ。
瑠実は彼の元へいくと龍華の教えの元で瑠歌に渡す料理を作り始めた。
その手際の良さに感心する。


「龍華、貴方すごいのね」

「まあね、レオに教わったんだ」

「レオ?あぁ、あの女の子ね」

「そう、プロフェッサーお気に入りの女の子」


そうして二人分のオムライスができあがり、瑠実はそれを瑠歌に届けるように恋人にうつつを抜かす兄に頼んだ。
自分はすることがある。
それは、もちろん。


「ありがとう、龍華」

「お安いご用さ」

「私のこと、好き?」

「もちろんだよ」


そう言って、龍華は瑠実に口づけをした。


 
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