疑いの瞳


カタカタカタ…

「瑠歌。何してるの?」
「閻凰。ちょっと、調べ事をね」

ここはアカデミアの資料室。瑠歌専用の部屋で、出入りできるのはイエンの他にレン、露遊、ユーリのみだ。
パソコン画面にかじりついて、恋人であるイエンこと閻凰の事はそっちのけだ。

「玉兎遥のこと?」
「ああ、眼がつかれた。そうよ。私がかつて分裂した少女たちは切り札。四枚のカードにして、再び紅白の龍・天を封印するために使うエナジーを集めているところなのよ」


「瑠歌…」
「心配しないで閻凰。プロフェッサーの娘みたいな事にはならないわよ、多分…。実際生みの親の私が生存できているわけだし、記憶もそのまま残ってる。5つ目の島に手をかけた玉兎の事は気になるけど、今はそちらに集中したいの」

「零牙がまた勝手な行動をしかけてきたよ?」
「国際デュエル大会ね。放っておけばいいんじゃない。そのうちスタンダードや儀式次元。そしてこのアカデミアは統合されるんだから」
「ユーリみたいな言い方だね。最近気に入られてるからって調子に乗ってるんじゃない?言っておくけど、キミはボクのモノなんだから」

「ふふ、わかっているわ。イエン」
「…どっちでもいいけどさ」


***

「っつ…なんや?急に頭痛が」
「梓様?」
「…力が、少しずつやけど吸い取られとる気がするんや。毎日毎日、少しずつ」
『残念だがそれが現状なんだ、やよい、遊泳。梓様の身体はまた1つになりはじめている』
「…どういうことだサフィラ、ワタシの親友の梓の身になにかあるということか」
「梓様は苦しんでらっしゃいます。しかし、ボクに何が出来るというのでしょうか」

「確かめる必要がありますわね」
「ルベ様!」
「ルベ?」
そう問いかけるやよいに、風一は語る。
「玉兎。お前の島を滅ぼしたやつは昔、赤い竜と白い竜を生み出した。その一体づつを封印したのが今の璃乃。
愛の姫と呼ばれるお方だ。確かヤツは聖少女軍団を設立していなかったか?」

「ああ、キャッスル・ゲートね」
ここで初めて、不知火暁が口を開いた。

「ランサーズの女版なんだってさ、ボクとしてはセンスを疑っちゃうけど…まさか璃乃、そこに入るつもり?」
「襲撃か?」
「やよいの手は借りませんわ。わたくし自ら偵察にまいります。アカデミアと関係を持たれるとやっかいですからね」
「確かに、璃乃のほうが玉兎も喜んで仕事を与えそうだよね」
「バカな!そんな事、利用されにいくようなものではないか!!!」
「その通りです。利用されに、行くのですわ」
「…璃乃?」

哀愁漂う璃乃の瞳に違和感を覚えた零牙とやよいだった。


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