ultime


 

「随分な言われようですわね。ねぇ、姫葵お姉さま?」

「全くだよねぇ〜、ワラワ達があのお姫様をこき使うみたいじゃない?」

「まぁ、事実だから仕方なかろう」

「…見て、桜姫姉さま、姫葵姉さま、椿姫」


紅色の髪の紅姫がモニターを指さして言う。
その中には璃乃の姿が映っていた。
それを見て、桜姫はくくく、とのどを鳴らした。


「ご苦労なことじゃな。玉兎と手を組んでいるワラワ達の出番などなかろうて」

「でもさ、桜姫ちゃん。ワラワ達、この女の子のお世話係だよ?」

「それは構わぬ」


ぱちん、と扇を閉じて桜姫はモニターから視線を外す。
視線の先は椿姫である。
椿の髪飾りをした翡翠色の髪は艶やかで美しい。
紅姫や桜姫、姫葵にはない美しさを持った髪は人々を魅了してやまない。


「誰か一人がこの娘の世話役をすれば良かろう」

「誰がするの、桜姫姉さま」

「紅姫、ナレならば出来るのではないか?」

「ワラワ?…良いですけど…」


少し考えて、紅姫は答えを出した。
扉が開いて、二人の少女が姿を見せた。


「紅姫様、姫葵様」

「どうしたの、夜空ちゃん?ワラワ達に用事?」

「玉兎様からの伝言です」

「至急儀式次元に向かい、Viceの天神 やよい、ならびに天野 五十鈴を確保せよ、とのことです」

「なんでワラワ達〜?」


ぷくっと頬を膨らませる姫葵に対して紅姫は冷静だった。


「円からの要請でしょう。月詠と天照は対になる者。片割れがいなくては寂しく、また愛鳳の行方も知れませんからね」

「ま、ultimeはいつでも聖少女軍団と手を切れるからいいんじゃない?いざとなったらその二人連れて逃げればいいよ。ね、双、夜空」

「御意、姫葵様」


夜空と双は膝をついて頭を垂れた。


 
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