薔薇色の頬、美しい瞳


 

アカデミアには二組の双子が存在する。
皇兄妹と鳳凰姉弟である。
いずれも、確かな実力と美しい容姿から知らない者はいないほど。
そして、二組の双子は恋人同士でもあった。


「瑠歌」

「あら、閻凰」

「露遊は?」

「愛鳳と出掛けているわ」

「そう。じゃあ、ボクは瑠歌を独占できるんだね」


そう言って微笑むのはベビーピンクの髪と瞳をした少年。
名を閻凰といった。
対して、はにかむように笑うのは瑠歌。
閻凰の恋人である。


「久し振りね、貴方と二人きりは」

「そうだね、いつも愛鳳と露遊がいたから…」


ふぅ、とため息をつく閻凰。
その姿さえ絵になるのは彼の中性的な顔立ちやその身に纏う服装からであろう。
王子のような容姿。
美しい肌。
しかし、瑠歌も負けずと美しかった。
青と黄色の髪は手入れされ、艶やかであったし、赤い瞳はルビーのような輝きがあった。


「まぁ、いいわ。“プリンセス”には“プリンス”がお似合いってことよね」

「じゃあ、ボクたちは何なのさ?」

「さながら、結ばれたロミオとジュリエットというところかしらね?」

「ロミオとジュリエットは結ばれなかったから美しいんだよ。だったら君は悲劇のヒロインになってしまう」

「ふふ、それもいいわ」


瑠歌は楽しそうに笑った。
それを見て、閻凰もつられて笑った。


 
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