「なぁ紬さん。あれ・・・店?」
「え?・・・お店だよ、ね」

公演も稽古もない休日

偶然にもカテキョのバイトがない紬さんとカフェをさがしに歩いていたら
寮からそう遠くはない場所に1件の古民家を見つけた。
出窓には【OPEN】とタイルで描かれている札があり、その近くには
コーヒーやらケーキの名前がかいてあるボード
これは間違いなく、カフェなんじゃねーか?


「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」
「あ、ハイ」
「畏まりました。天気がいいので、もしよければ奥のテラス席どうぞ」

広めの店内にはスロージャズが響き
天井のすりガラスからは木漏れ日が差し込んでいて明るい印象のある店。
客はどうやら俺たちだけのようで、一組分しか置かれていないテラス席へ案内された。

「ご来店有難うございます。こちらメニューです。」
「へぇ・・・こんな近くにいい感じの店があったなんてな」
「ふふっ、恐れ入ります」
「ここのお店はいつから?」
「今年で丸3年です。建物自体はもっと古いんですけど」

確かに外観は「古民家」だったが、中は今流行りなウッドスタイル。
天井のすりガラスもそうだが、所々にある小さい置物や古い本が並んでいるのを見るところ
SNS映えすることは間違いないだろう。
とりあえずラテを頼んで来るのを待つことに。

「紬さんと色々行ったつもりだったけど、ここはノーマークだったな」
「そうだね。他のお店がって訳じゃないんだけど、ここは不思議と落ち着くね」
「ここなら至さんとか来れそうだな。近いし」
「Wi-Fiも飛んでるみたいだよ?」
「あ〜それ最優先事項だわ。今度連行だな」
「そうだね、ここならきっと来てくれるよね」

あの人通信速度だけはけちぃからな。


オーダー

(でも、至くんここ来たらMP回復〜とか言いそうだよね)
(紬さん、あんたも至さんの事分かってきたな)
(え!?そうかなぁ・・・(照)
(なんでそこで照れるんだよ・・・)








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