- 鷹の交友関係は世界中 -
「真ちゃーん、そんな落ち込むなって!」

何気ない高尾くんの真ちゃん呼びがすごく気になる。真ちゃんって、そんな仲良しさんにいつなったの高尾くん!
入学式に緑間くんを見てからずっと私の頭の中は緑間くんのことばかりだ。

緑間くんがバスケ部なのは驚いたけど、バスケをしてる緑間くんもすっごいかっこいいんだよね。
体育館前の広場で練習するのが私の日課だったりもする。高尾くんは気づいたら手を振ってくれたりするんだけど緑間くんは反応なしなのがちょっと悲しい。これでもクラスメイトで隣の席ですよ!
話が変わるけど最近高尾くん緑間くんと仲が良すぎじゃないかな。私だって真ちゃんって呼びたい、薫って言われたい。

「そんでさ薫はどー思う?」
「へっ!?」
「今日の真ちゃんのラッキーアイテム!」
「きょ、今日の緑間くんのラッキーアイテム……?」

緑間くんは意外にも占いを信じてるらしく毎日変なモノを持ってきてたり、語尾が独特だったりちょっと変わってる人だ。私も毎朝おは朝を見ているので共通点があったことに喜んだのは寝坊したあの日だったりもする。
今日の蟹座のラッキーアイテムはなんだったっけ、ええとーーあ、考えなくても緑間くんを見たら分かるじゃないか。

「あれ? 緑間くんなにも持ってないけど……」
「っ!」

珍しい、入学式から毎日かかさず色々持ってきてたのに。あ、もしかしてこれ言ったらいけないことだったかな。ああもう、私の馬鹿ー! これで嫌われたらどうしよう。

「実はさあ真ちゃんのラッキーアイテム、リード? なんだってよ!」
「リード!? すごいマニアックだね……」

今日は随分とむずかしいラッキーアイテムだったみたい。この流れで私にふるってことは犬につけるリードじゃないんだよね。おは朝、吹奏楽部以外に日常でリードを持ってる子なんてなかなかいないよ。

「それでさ薫なら持ってんじゃないかなーって思ってさ」
「おい高尾」
「サックスだし一応ある……よ?」

私は全然、むしろお役にたてるならウェルカムなんだけど緑間くんが嫌じゃないのかな。ちょっと怒ってるし。

「真ちゃん素直になれよ!」
「……迷惑でなかったら貸して欲しい」
「ううん! 迷惑なんかじゃないよ!」

すっごい嬉しいです! 緑間くんにお願いごとされるなんて今日は良い日だ。今日は緑間くんにお願いされた記念にしよう。


「いやーそれにしてもあの顔はバレバレだわ」
「ほっといてくださーーい」

別に好きとかそういうのじゃないんですよ。あわよくばお友達になりたいとかそういうのであって。

「私としては高尾くんの真ちゃん呼びの方がすっごーく気になるのですけども」
「へっへーいいだろー」

にししと笑う高尾くんへの嫉妬がとまらない。真ちゃんだって、これはもう緑間くんの親友ポジションは高尾のものだね、羨ましい。私も真太郎くんって呼べるようになれるかな。もしそういう運命があるなら早めにお願いします神様。

「まあ頑張れって!」
「高尾くんって言葉通じなくても友達になれそう。ワールドイズフレンドだね。」
「ぶはっ! なんだよそれ!」

真太郎くん、真太郎くん。いつ名前呼びになるか分からないしシュミレーションだけは完璧にしておこう。うん、何事もポジティブにいかないとね。