「...これって―」
「あ、あの。わたし、実は...」
緊張に心臓がバクバクと煩い。
いや、正しく言えばわたしの心臓は動いていないのだけれど。
可愛らしい帽子を被ったトナカイ、チョッパーさんが今わたしを診察している。頬についているであろう三本の引っ掻き傷を見ながら、驚きと焦りで目を見開いていた。
「どうしたのよ、チョッパー」
「あ、いや...」
「この子大丈夫なの?」
「どうなんだ、チョッパー」
「ええと...傷口が結構深いし、治るまでには時間が掛かる。でも、そこは問題じゃないんだ」
「?どういうことよ」
「これを見てくれ」
ごめんな、痛いだろうけど我慢してくれ。
そんな言葉と同時にサンジさん、ナミさん、ロビンさん、を先頭に他の人たちの視線がわたしの顔に突き刺さった。「ひえ...」と無意識に
「分かるか?時間が経ってるから、傷口は多少塞がってるし血も固まってる。勿論それは当たり前のことなんだけど、血の固まり方がおかしい」
「なるほど...まるでゼリーみたいね」
「そうなんだ!ロビンの言う通り、ゼリーみたいに血が固まってる。」
「死んでからじゃないと...血は固まらないんだ」
「なっ...!」
「なにいいぃぃっ?!!」
「なんだ、お前しんでんのか!」
「ばっか!そんなわけないじゃない!この子が死んでるように見える?!」
大変だ。わたしのせいで皆さんがパニック状態に...!と慌てる暇もなく、
「それに、体温が全くない...。何度計ってもメモリが動かないんだ」
「な、なに言ってんのよチョッパー!現にこの子、動いてるじゃないっ。喋ってるし!」
「ねぇ、あなた」
「はっはい」
「あなた自身、心当たりはあるかしら?」
「...実は、その。わたし、ゾンビになってしまったみたいなんです」
はは、と乾いた笑いが溢れるも
「ぞ、ゾンビって...本当かい...?」
「わたしここに来たのが数日前で、海賊に捕まってたんです。」
「そうだったの...」
「だから、その...あまりわたしに近付かないで下さい。もしも、わたしが何かの拍子に引っ掻いたりしてしまったら...感染しちゃう、から」
言うや否や、ルフィさんが目の前へと迫る。
「ふーん、お前ゾンビなのか」
「は、はい」
「...よしっ決めた!お前おれの仲間になれ!!!」
「へぇえ?!」
「だってよ、お前これからどうすんだ?」
「それは...その」
「行くとこねぇんだろ?」
う...と押し黙らされてしまう。
ルフィさんの言うことはもっともだが、そんな簡単に海賊の仲間にはなれない。海賊が嫌いとかそういう問題じゃなくて、