ピンポーン

一人暮らしの部屋でインターホンがなることって、あんまりない。モニターで確認すると見覚えのある配送業者の制服だったから通話ボタンを押した。
「はい」と返事をするとノイズの混じった声が会社名と共に「お届け物です」と柔らかく告げる。そういえば今日あたり仕送りが届くとかお母さん言ってたっけ。


「ありがとうございまーす」


そう言って玄関を開けると、そこにはいつものおじさん…じゃない、若いお兄さんが荷物を持って立っていた。


「こんにちは」
「こ、こんにちは」
「千尋さんのお宅でよろしいですか?」
「あ、はい」
「こちらお荷物届いてます。お間違いないですか?」


関西訛りのイントネーションが新鮮で思わず顔を上げる。爽やかな笑顔が眩しいな。
ご署名お願いします。と言われるまま百円印を押した。


「ありがとうございますー」


にっこりと歯を見せる小柄なお兄さんの笑顔があまりに優しすぎて、思わず左胸の名札を見てしまった。


「お疲れ様です、」


ドアを閉める前にそう言うと“安 田”さんは元気に「どうも!」と言って笑みを深くした。あ、可愛い笑顔。『キラキラした』そんな形容詞がしっくりくる、恋に落ちるには十分な笑顔だった。






===========
青ストライプって言うよりは、クロネコの方のださめの制服をちょっとオーバーサイズ気味に着てほしいです。





ミガッテ