チート先輩のワクワクが止まらない(恐らく爆豪)


この世界ではひとそれぞれに個性というものが存在する。火を操ったり身体を固くしたりと沢山ある。その中でも私の個性はまぁまぁ強かったりする。
私の個性は「反射」で、全ての攻撃を反射し相手に与えることができる上に味方が受けた攻撃を自らに吸収して跳ね返すことも可能というチートであった。周りの人間は全員一致で私にヒーローになることを進めてきたが私は拒んだ、というかできなかった。両親も友達も先生も皆個性だけでそう決めつけてくるそれにうんざりしていたこともあるが、人の苦しんでる人が私を見る姿がたまらなく好きで、もし私がヒーローになったら私へ向けられる視線が待望の視線となることが嫌だったから。
それを自覚したのはとある調子に乗っていた後輩を叩きのめした時だ。その時は私も小学6年で既に両親からヒーロー志望向けの有名な中学へ進学を進められており、イライラしていた、かといって自分のやりたいことなんてなかった故に親に引かれたレールに乗るしかできなかった自分にむしゃくしゃしていた。その時だ、私の目の前に無個性と虐められてる少年と明らかに気の強そうな少年の戯れを目撃した。気の強そうな少年は虐められてる少年の髪を掴み無個性と罵り笑っていた。普段なら無視して通り過ぎるはずなのに当時の私は気紛れに気の強そうな少年の前に立ちはだかり喧嘩をした。当時の年の差は絶対あった故にで私が勝った。私に敗北しあの悔しそうな顔を見てゾクゾクした。周りからの待望の眼差しにはまったくそそられなかったのにだ。
あの事件の後子供の些細な喧嘩とはいえ上級生が下級生に手を出したことがきっかけで有名中学に行けなくなり遠くの普通の中学に進学することとなる。それによりあれだけ私を頂戴していた友達も先生も両親までも私と疎遠となり今や独り暮らしで生活をしている。安くもない学費を払ってくれている両親の事を尊敬も感謝もしているが、たまに実家に帰ると私を割れ物のように扱う両親には心底愛想がつきていた。私の周りには個性としか見ない輩ばかりで私という人間を見てくれないことが嫌だった。今思えば餓鬼のような考えだと思うし大学となれば自制することもできる。あの事件以来さらに今頼られたり好意を持たれたりすることになにも感じなくなるが受け流すと言う技を覚えて生きてきた。
私だってその異常性は自覚しているし、社会に出たら隠さないといけないことだってわかる。中学生では荒れていたのもあり敵側に行くことも考えたが、結局どちらにいっても個性でしか見らないのは一緒なので、普通の高校を卒業し普通のなんの変哲もない大学生活を満喫している。普通に友達もいるし異性とも遊んでいるし何も不自由はない。ただあの時の興奮することもなく屍のような生活、それが大人というものだと理解したつもりだから。と反面刺激を欲していたのも事実。



「はぁー」
そして私はバイトでたまにリカバリーガール(ババァ)の変わりにヒーロー名門である雄英高校の非常勤保健医として働いている。何故か?刺激を欲していた私は普通の高校と比べて怪我も多いし苦痛の表情も見れると思ったから。個性ですぐに雇われた。時給もいい。


「あの、すみません。」

「ん?」

「リカバリーガールは、というか貴方は…」

「あぁ、怪我かい?私は…」

「ていうか先輩ですよね?!おぼえてますか?!緑谷です!!小学生の時に助けてくれた!」
あぁ、上記で述べたように私は彼を一度だけ助けた。虐められてたからというのが表の真実、実際は虐めていた大将がいつも煩く威張っていたからその顔を歪ませたくてって言うのが裏の真実。


「んー、あぁ!あの時の虐められボーイか。久しぶりね」

「(すごいあだ名!)あの時にすぐに卒業されたのですみません、お礼できなくて」

「いや構わないよ。で、怪我は?」

「ここです」

「…」
彼の傷は手指数本打撲と骨折…私の個性とは接触しなきゃ発動しないので優しく触った。

「いてててててて!」
でもやっぱり彼の怯えた表情は堪らない、どうせなおるしと指を曲げて悪戯した。いい反応だ。

「ごめんごめん、触り方雑かったね(ニコニコ)」

「(めちゃ笑顔?!!)…ってあれ?治った?」

「うん。」
近くに置いて貰った超強度の金属板にてを触れると先ほどの虐められボーイの指と同じように金属が折れ曲がった。金属板は学校側から支給されたものでこれにダメージを反射しろとのことだ。

「ひいっ!」

「私の個性でね、ダメージを違う対象に変えるのよ。でも時間が経てば経つほど変えられるダメージも減るから早めに来てね」

「はっはい。」

「というか、君ヒーロー科?」

「いっ一応…無個性だったんですけど、最近個性が出てきて、ヒーローも憧れてたので」

「ふーん」

「聞いてないですよね?!」

「聞いてる聞いてる。君は高校では虐められてないの?」

「あ、ぐっ、、」
またかよ

「かっちゃんが…先輩が叩きのめした爆豪君がヒーロー科にいるんです!その、先輩に倒されてから先輩の事をいつか殺すって言ってたので気をつけてくださいっ」

「ほぅ、あの爆発君か」
というか虐めっ子がヒーローかよ。おいおい

「かっちゃん、死ぬほど根に持つタイプだから先輩がいること知ったらどうなるか…」

「楽しみだな」

「先輩?!!」
あの顔にまた会えるかな。





「…っち」

「大丈夫か?爆豪?」

「足ぐねった。」

「先生ー!!爆豪が捻挫したらしいです!!!」

「おい!!大丈夫だよこんくらい!!」

「おー、リカバリーガールん所行ってこい。静かにな」
僕が保健室から帰ってすぐに簡単な演習でかっちゃんが足を捻挫した。普段こんなミスしないはずなのに珍しいな、なんて呑気なことを思っていたが先ほどの保健室の事を思い出して異常事態だいうことを悟る。先輩とかっちゃんが会ってしまう!かっちゃんは先輩とのこと絶対覚えているどころか見つけたら復讐すら考えていると思う。そんな二人を会わせる訳にはいかない!修羅場になる!!

「せ、先生。リカバリーガール休みじゃないんですか!?」

「何っ言ってんだよ緑谷、お前指直してもらってんじゃんか」
しまったぁあ!!

「そういえば臨時で保健医が入ってたな。なら大丈夫だろ」

「若い女か?!」

「美人か?!!」

「大学生だったな。」

「やふぉええええ!!!!」

「俺、腹痛くなってきた」

「峰田ずりーぞ!あ、頭いたいこれだめだ。先生」

「こら!二人とも静かにしないか!!」

「て、いうか爆豪は?」

「それなら先に一人で行ったわよ


「ひぃいいいい!!!!ししし心配なんで追いかけていきます!!」
ヤバいヤバいヤバいあの二人を止めれるのは僕しか…てか止められるのかわかんないけどもう行くしかない!!
上鳴君や峰田君の制止の声も無視して僕は再び保険室へ走った。




「っす、足ぐねったからシップ…」

「ん?やけに今日は怪我人いるなー…あ」
まさかまさかまさかまさかの次の怪我人は見覚えがあった。先ほど緑谷君がかっちゃんと言っていた少年だ。ふふ変わんないなー。なんてあの日の乱闘を思い出していたのもつかの間に私は彼に胸ぐらを捕まれた。


「てめぇ!俺の事覚えているか?」

「覚えている覚えているよ。小学生の時に君と喧嘩して勝ったことと、あの時の君の悔しそうな顔も」

「こんだけ知ってるってことは人違いって訳じゃあなさそうだな!あの時の事を思い出しては腸煮え帰りそうだったわ!!」

「そう!君は私のことをそこまで…」

「頭わいてんのか?!喜ぶところじゃねぇ!!!」
彼は胸ぐらを掴む手と反対の腕を振り上げ私を殴ろうとする。私は個性を使ってその反動をそのまま彼に返した。それにより彼は保健室の外へふし飛んだ。彼の個性そういえば凄い派手だったな、この音はやばかったかもしらない。


「あら。捻挫してたんだったね。動ける?」
私は彼に近付き手を差し伸べた。がその腕はすぐに振り払われた。ムカつくからその反動を返して彼に更なるダメージを与えたら動かなくなった。これは私首になるかもなぁ、と呑気に考えながら彼を掴みあげようとした途端に彼は起き上がり私のヒールを蹴りバランスを崩した所を押し倒され手足を押さえつけられた。


「これであんたの個性使えねぇだろ!俺の勝ちだ」

「そうかしら」

「っ」
手足が使えないならと、首を上げて彼の唇に自分の唇を合わせた。つまり接吻だ。彼もまさかここでキスされることなんて思ってなかったようで四肢の力が緩んだその隙に捻挫した足首を蹴り上げ、弛緩した腹にワンパンした。流石の彼もなかなかのダメージだったようでそのまま気を失った。


「ああ、あの先、輩」

「あぁ緑谷君」

「心配で来たんですけど、(他人同士のキスみてしまった!!)」

「大丈夫。始末書は書かないとかもしれないけどそれも仕方ないことだ。さて彼を運ぶの手伝ってくれないかな?」

「は、はい!(先輩…上機嫌だ)」



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