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「そろそろ昼時だな。名前腹はすいてるか?」

「うん、お腹へったかも」

「じゃあ昼にしよう」



そう言ってモール内にあるパスタ屋さんに入る。

お昼時なこともあり混んでいて、店先に置いてある用紙に彼がアカイと書く。


ふと気づくと私の目は無意識に赤井さんの文字を書く手をじっと見つめていた。

私と違ってごつごつしていて、厚みのある少し冷たい手。


いつもあの手と、私の手を重ねてるんだよなぁ…と考えてしまって何だか恥ずかしくなった。




少し待つと

『2名様でお待ちのアカイ様〜』


と店内から呼ぶ声が。



「…なんだか私の苗字も赤井になったみたい」


なんて。

思わず心の声が溢れた。






「…お前のそれは無意識か?」


2017/04/19 rewrite

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