物心ついた時から、私は孤児院で過ごしていた。親に虐待されたのか捨てられたのか。詳しい理由はわからないけれど、とにかく私は孤児院で、同じような境遇の子たちとともに過ごしていたのだ。
そんな施設の子たちの中に、私をすごくかわいがってくれる姉のような人がいた。私の5歳上の女の人だ。どうしてその人が私を可愛がってくれるのかはわからなかったけれど...部屋が隣だったからだろうか?
私は彼女をお姉ちゃんと呼んでいたし、お姉ちゃんも、私を妹のように扱ってくれていたと思う。
そんなある日。お姉ちゃんが12歳。私が7歳になる時だった。
「リンもきっと、私と同じ学校に通うことになるって思ってたの」
孤児院の院長に渡された手紙は、魔法処入学許可証と書かれていて、私はそれを手にしながら首をかしげていた。
「魔法処って?」
「魔法を学ぶ学校のことよ」
お姉ちゃんはウインクをしながら、そう答えた。
私がこの孤児院に来たのはいつからなのかは知らないけれど、既にお姉ちゃんは魔法処に通っていた時だったらしい。そんな時に私が来て、自分と同じような魔力の持つ人間だと思って、私に声をかけてくれていたらしかった。
お姉ちゃんがそうやって見せてくれた魔法は、とても素敵なものだった。杖という細い木の棒を振れば、私の上に冷たくない柔らかい雪を降らせてくれた。
もう一度触れば、その雪が一人でに固まって丸くなり、雪だるまを作るのだ。
私はその光景に釘付けだった。とても素敵だ。こんなに素敵な力が、私に備わっているのだろうか...!!
「こう言うものを学べる学校なの。リンと学校でも一緒に入れるなんて、お姉ちゃんとても嬉しいよ」
まだ小さい私をそっと抱きしめながら、お姉ちゃんはそう言ってくれた。