きっかけは本人のみぞ知る。

魔法処での授業は楽しかった。普通に算数や理科もやるし、魔法の勉強もやるしで大変だったけれど、そこはお姉ちゃんが何度も助けてくれた。

私は魔力が低いのかわからないけれど、使い方が下手であまり実技では良い点数をもらえなかった。いつぞやで見たお姉ちゃんのような魔法を、私も使えるものだと思っていたから少し残念だったけれど、お姉ちゃんの「私も最近できるようになった」という言葉を信じて、私は毎日頑張った。


ローブにも着られているという印象も消えてきたのではないかと自負しだした頃。世界は急に闇に包まれるようになった。

なんでも、欧州の魔法使いが何人も闇に傾倒し出して、闇の帝王なる者が現れたらしい。その影響で、日本の魔法学校でも闇の魔術や禁じられた呪文について学ぶ機会が増えていった。学ぶだけで、実際に使うわけではないのだけれど。


そして学校でも、日本の魔法界のお偉いさんたちも、皆口を揃えてこう言うのだ。

『禁じられた呪文を唱えた者は、日本の魔法界から永久追放だ』

と。

どれだけ優れた人間でも、その呪文を唱えたが最後。ローブの色は真っ白になり、国に追われる犯罪者となる。




「お姉ちゃんは卒業したら何になるの?」


そんな時、5歳離れたお姉ちゃんは学校を卒業する年になった。卒業式まであと数ヶ月。いつものように勉強を教えてもらっていた時にそう聞いた。


「魔法省に入ろうかなと思ってるよ」
「お姉ちゃんは頭いいもんね...すごいな〜...」
「孤児院にお返しもしたいしね。お金稼いで、今まで育ててくれた分と、今いる子達用にいくらか寄付しようと思ってるの」


そういったお姉ちゃんの顔は、とても格好良くて。やっぱりお姉ちゃんは、私の自慢の姉だ、ととても誇らしく感じた。


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