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1日は、号令とともに教室を満たす銃声の音から始まる。

「気をつけ...!!」

タコのような触覚を持った生物が教室に入ってきた後、日直が号令を叫ぶ。それと同時に私たちは銃を構えて、標的であるその物体に集中し、


「れーーーーい!!」


一斉に銃をうちだした。

「発砲したままで結構ですので出席をとります。磯貝くん」

この異常とも取れる行為は、つい先週の三年生の始まりに起きたある出来事による。


世界を驚かせた出来事。それは、月が半分、何かしらの原因により蒸発した。

『初めまして。私が月を爆った犯人です』

そう言ってやってきたのが、この教室の担任でもあるタコのようなこの標的。これが教室にやってきて、最初にそう言った時、まず5,6っ箇所突っ込ませろとクラス全員が思ったことだろう。

そして次に、防衛省の烏間という男性が、私たちにこの怪物を暗殺して欲しいと言った。
もしもこの怪物を殺すことができれば成功報酬は100億円だそうだ。

私たちには無害で、この怪物には有害である武器を渡されて、かくいう私もこの怪物を殺すためによく分からないまま暗殺行為を繰り返してきた。





今日も、この怪物を殺すことはできなかった。

昼休みに、怪物こと先生は中国の四川で麻婆豆腐を食べると言って窓から飛び出していった。
私はそれを見て、机に頬杖つきながら前の席の愛美に声をかける。

「...本場の麻婆豆腐だってさ...いいね...」
「食べてみたいですね...」

奥田愛美。可愛らしい名前で、おさげをした一見真面目そうなこの友達は、見た目通り中身も真面目な女の子だ。
それでも、私がこのクラスに来てからとても仲良くしてもらっている大事な友達で、文系に見えて化学が大好きな私と同じリケジョというやつだった。

「てか何気に教えるの上手いよな」

そう言ったのはクラスの誰か。
愛美と話しながら弁当をつついていると聞こえたその言葉。

確かにあの先生はとても教えるのが上手い。
苦手な教科や得意な教科をそれぞれ自分たちのレベルに合わせて教えてくれる。
今まであった先生の中で一番と言っていいほど教えるのがダントツで上手い先生だ。

「...ま、関係ないけどな」

またもや続くように誰かがそう言った。

私たちがいるこのクラスはE組。
エンドのE組。

英語の苦手な私でもわかる、end。終わりという意味。

成績が悪い人、素行の悪い人が落ちてくるクラスがこのE組。
私たちは皆、一人一人どこかにコンプレックスを抱いてこのクラスに落ちてきた。
私としては、どんなクラスでも楽しけりゃそれでいい。そう思っていたとしても、現実とはうまくいかないものなのだ。



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