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「今日から来た外国語の臨時講師を紹介する」

烏間先生がそう言った隣で、殺せんせーにべったりくっついている女の人がいた。

「イリーナ・イェラビッチと申します。みなさんよろしく!!」

見るからにべたべたなその女性。とても美人で、何より胸が大きい。
英語の先生としてこのクラスに入ってきたのだろうけれど、この時期に新しく入ってくるんだ。私たちだってそんなに鈍くはない。





昼休み、みんなで暗殺サッカーをしていた時、イリーナ先生が校庭に入ってきて先生に媚を売った。

ベトナムのコーヒーが飲みたい、と。

そんなこと言うなら私だって大阪のお好み焼き食べたいんだけど。小さい声でそう言うと、莉桜にこら、と頭を突かれた。

「で、えーと、イリーナ先生...?授業始まるし教室戻ります?」

そんなイリーナ先生の言葉にデレデレの顔でマッハでいなくなった殺せんせー。そんな気まずい雰囲気の中、磯貝くんが学級委員長らしくイリーナ先生に話しかける。すると、イリーナ先生はとても高慢な態度で、イェラビッチお姉様と呼びなさい、と言った。

「...で、どーすんの、ビッチ姉さん」
「略すな!!」

カルマくんはそんな中でもはっきりと物を言うからすごいと思うんだ。私は思わず小さく拍手をした。

「大人にはね、大人のやり方があるのよ」

カルマくんの挑発にもものとも言わずに、渚くんの名前を呼んだイリーナさん。
すると、いきなり渚くんの顔に手をやり、ながーく濃いキスを繰り出した。

それをみんなで驚きながら見つめる。

「後で教員室にいらっしゃい。あんたが調べたやつの情報聞いてみたいわ」

ボケーとしている渚くんを地面に放り出し、私たちを見渡すイリーナさん。

「その他も!!有力な情報持ってる子は話に来なさい!!」

とっても傲慢。そんな上から目線で誰か従うというのか。私は密かに心の中でそう思って、隣に立っている愛美と顔を見合わせる。

クラスの大半が思ってるだろう。この先生は、嫌いだ、と。



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