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学園祭が始まり、エプロンをして食べ物やなんやらを準備する。人もそこそこには来ていて、なんだかんだで忙しかった。


「そーいや渚、聞いたよ髪伸ばした理由」


莉桜と二人で教室の中を歩いていれば、ゴミ箱を持っている渚くんがいて、莉桜が話しかけた。


「悪かったね、いやいややってんなら...私がからかう時も傷ついてた?」
「あ、ぜ、全然!!中村さんやカルマくんにいじられる分には!!」
「そっか、でももうあんまりいじらないようにするよ」


渚くんが髪を伸ばしてた理由は、お母さんが三者面談できた時に瞬く間にクラス中に広まった。その時莉桜はいなかったから、私が後で伝えれば、なんだか少しショックを受けた顔をしていたのを思い出す。

莉桜が珍しくおとなしくそういえば、渚くんも大丈夫だと言ってニコニコ笑っていた。


「渚ちゃーん遊びに来たぜー!!」


と、急に聞こえた軽薄そうな声。
窓の向こうを見てみれば、そこには渚くんに向かって手を振っている男の子がいて。名前はゆうじ君、あの夏休み、南の島でホテルに入り込んだ時に渚君に間違って惚れてしまった男の子だ。


「莉桜...」
「これで最後、これで最後」


莉桜がそそくさと自分のスカートを脱いで(ここに女子しかいないから良かったけれど)、渚君のズボンを無理やり脱がして自分のスカートを履かせる。
私は呆れながらそう言うも、莉桜はニヤニヤと笑いながらズボンを履き切ると立ち上がり、渚君のお尻めがけて強烈な蹴りを一発かました。


「行って来い渚ちゃん!!クラスの命運は君の接待に任せた!!」


とまぁ、よくもそう言えるものだと私は内心呆れながら、二人を見た。莉桜はそれだけじゃ飽き足らず何かしようとしてるのかスケッチブックを持って二人の後を追って、はぁとため息をひとつ零す。


「何やってんだあいつら」


お迎え係りの交代なのか、寺坂くんがエプロンをつけて教室に入ってきた。私はそっちをちらりと見て、首を横に振りながら「楽しそうだからよしとする」と言っておいた。




「急に席が埋まってきたぞ...」
「...うん。殺せんせーを殺せなかった殺し屋たちで」


メグと磯貝くんの言葉に教室の外を見れば、今までたくさん見てきた殺し屋の人たちが席をたくさん埋めていた。こうやってみれば壮観だなーと思いながら注文されたどんぐり麺を持って席に運ぶ。


「お待たせしました...あ」


その席に座っていたのは、いつぞやの南の島で相対した殺し屋。銃を持ってこっちをニヤニヤ笑いながら見ていた。

『そんときゃてめーの頭が働かねーうちに、一発でその力を奪いに行ってやるよ』

最後にそう残した彼の顔を久しぶりにまじまじと見つめる。すると、その人はどんぐり麺に銃を突っ込んで舐めるという荒技をしながら美味しいといった。


「テメェのナイト様はいねーのか?」
「え!?」
「何の用だよ」


ナイト様発言に思わず顔を赤くして声をあげれば、私の後ろにいつの間にかいた寺坂くんが私の手首を引っ張り後ろにずらして前に立つ。その睨みに、銃を持った彼はニヤリと笑いながらそのベトベトになってる銃口を寺坂くんに向けた。


「おうおう、まだナイト様はご健在か」
「あぁ!?」
「ちょほんと、黙ってくれる!?」


次は寺坂くんが顔を真っ赤にして声を上げる。私の声よりも数倍はうるさいその声に、他に散りばめられていたクラスの皆が不思議そうな顔をしてこっちを見たから、私は慌てて彼の銃口を無理やりその人の口に突っ込んだ。

何故か「やるじゃねーか」と言われて解せない気持ちでいっぱいだ。




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