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「多分ここだね」

しおりから頭をあげて見れば、前に建っているのは多分ずっと使われていない廃墟。
監視でもしているのか、見るからに不良だろという人間が一人入り口に立っていた。

カルマくんは一発でその人を殴って気絶させ、よし、行こうと爽やかな笑みを私達に見せる。


私はこの人を敵には回したくないな。



そんな苦笑を浮かべてる私達は無視して、カルマくんはドアを開きその男の人を投げ捨てた。それを見届けて、私はそのしおりに書かれてあることを口に出す。


「修学旅行のしおり1243ページ、班員が何者かに拉致られた時の対処法。地元民ではなくさらに学生服を着ていた場合、1244ページ。


考えられるのは、相手も修学旅行生で旅先でオイタをする輩です」
「みんな!!」
「ドンピシャだったね」


ちらりと見れば、茅野っちと神崎さんは手首を縄で固定されたまま、ソファーに座らされていた。
さっきうっすらと聞こえたカメラスタッフがどうのこうのって奴の前に着くことができて本当に良かった。


カルマくんが怒りながらその男に話しかけた後、後ろのドアが開く。

「お前らみたいないい子ちゃんが見たこともない不良どもだ」

と、彼がいったはいいものの、ドアから出てきたのは、不良なんかじゃなくて坊主にメガネをかけた男たちだった。

しかも、殺せんせーの触手によって持ち上げられている。


「渚くんがしおりを持ってくれていたから先生にも迅速に連絡できたのです。この機会に全員ちゃんと持ちましょう」


と言いながら一人一人にしおりを手渡す殺せんせー。それをパラパラ開きながら、これをまた持つのか、と思うと少しげんなりとした。


「これ、全部見ることもないままお蔵行きだよね」
「あはは...」


愛美にそういえば、愛美は苦笑しながらもぎこちなく首を縦にふる。
やっぱりそう思うよね?


「...さて、私の生徒達よ」


私が色々見てる間に、先生とその不良の男との話は決着がついたらしい。
なんとなく神崎さんの顔がすっきりとしていて、またこの先生は生徒の手入れをしていたんだな、と思った。


「修学旅行の知識を体に教えてあげるのです」


先生のその言葉を合図に五人でしおりを持ち上げる。


そして、



「はい、せーの!!」



という私の合図でそのしおりを男たちの頭にぶちこんでやった。





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