02

昼休みが終わり、早速烏間先生の新しい授業が始まった。ジャージに着替えて言われるがままナイフを振る素振りの練習。

「ひどいですよ烏間先生。私の体育は生徒に評判良かったのに...」

そう泣きながら言う殺せんせーに、菅谷が嘘つけと一言。

「身体能力が違いすぎんだよ、この前もさぁ...」

菅谷が呆れながら言うにも理由がある。だってこの前なんて、反復横跳びの見本だと言ってあやとりをしながら三人に分身をしたから。

「あれはなかったわー」
「ほんとほんと、異次元すぎて」
「体育は人間の先生に教わりたいわ」

私の声に莉桜と杉野くんが続けざまに言った。
その声に落ち込んだのか、殺せんせーはシクシク言いながら砂遊びをしだした。いや、でもふつうにこんがえてみても欲しい。私たちはただの人間だ。マッハに動く生物なんてあんたぐらいだろ。

「でも烏間先生、こんな訓練意味あんすか?しかも当のターゲットがいる前でさ」
「勉強も暗殺も同じことだ。基礎は身につけるほど役に立つ」

烏間先生の言葉にみんなが少しぽかーんとなる。
数学が大好きな私からしたら、それは当たり前のことすぎて、むしろポカーンだ。基礎があるから応用が効く。まぁ理屈で通るものでもないのだけれど。

「例えば...磯貝くん、前原くん、そのナイフを俺に当ててみろ」

磯貝くんと前原くんは戸惑いながらも烏間先生にナイフを当てに行く。それを軽く避ける烏間先生。

なんとか当てようと踏ん張る二人の手首を掴み、地面に二人の背中をつけた烏間先生は、ひなのではないけれど、かっこいいと思った。

「見ろ!今の攻防の間に奴は砂場に大阪城を造った上に着替えて茶まで立てている」

ちらっと見れば、千利休みたいな格好をしてお茶を飲んでいる殺せんせー。その後ろには立派なお城が建っていた。純粋にすごい。
一人で拍手していれば莉桜に頭を叩かれた。




「さってとー6時間目だね」
「はい。次は小テストでしたね」
「体育も嫌いだけど小テストも嫌だ...」
「そうですね...」

愛美と話しながら教室に戻ろうとしていると、校庭に立っている一人の男が見えた。
あぁ、停学処分をくらっていた赤羽業くんだ。確か私の隣になるはず。

「赤羽業くんですね。今日が停学明けだと聞きました」

殺せんせーと話すカルマくん。すると突然、先生が思い切りカルマくんを避け出した。
その腕は、あったはずの触手が一本なくなっていた。

「殺せないから殺せんせーって聞いてたけど、あっれぇ、せんせーひょっとしてちょろい人?」

そうやって煽り出すカルマくんに、はっきり言って私は顔を手で覆いたくなるくらいため息をつきたくなった。
この人、絶対めんどくさい人だ。この煽りでわかるもん性格の悪さが現れてる。

お願いだから、近くにいる私を巻き込まないでくれればそれでいい。

とは思っても、そうはいかないのがこの暗殺教室なのだけど。

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