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全員で中に入った。その瞬間、建物がエレベーターの作りになっているのか下に降ろされ、全員牢屋の中へと落とされた。


「捕獲完了。予想外だろ?」


牢屋の外には死神と、そして、ビッチ先生。


「お察しと思うが、君たち全員あのタコをおびき寄せるための人質になってもらうよ」


死神が何かを言っている間に、皆と同様に私も三村とともに壁をたたきながら慌てる。
自分で改良したサバイバルゲーム用アプリ、多機能式便利ツール5を起動し、奥にいる愛美と竹林くんにアイコンタクトをした。


「でも今は殺さない、本当だな?」
「あぁ」
「俺たちがあんたに反抗的な態度をとったら...頭にきて殺したりは?」
「しないよ。子供だからってビビりすぎだろ」


岡島が死神と話をしている間に、私たちインテリ軍団は準備を整えた。
それを岡島に目線で伝えれば、岡島はいつもの飄々とした笑顔を見せて牢屋の鉄格子から離れる。


「いや、ちょっぴり安心した」
「竹林君ここ!!」
「空間のある音が確かにした!!」


三村と二人でそこを指差し、竹林くんに爆薬を設置させ、愛美の名前を叫ぶ。


「愛美!!」
「はい!!」


愛美特製のカプセル煙幕と爆薬がともに発動する。
煙幕を爆風が広がっている間に全員ダッシュでその場を離れた。


「聞こえるかい、E組の皆。君たちがいるのは閉ざされた地下空間だ。外に通じる出口は全て電子ロックがかかっている」


早速状況を判断した死神の声が、スピーカー越しに聞こえる。
彼の言葉に私は慌ててモバイル律を取り出した。地下空間、イコール電波は届かない。それがさす意味とは...


「期待してるよ、どこからでも殺しにおいて...じゃ」
「まるでゲーム感覚...」


死神の声が聞こえなくなり、私たちは磯貝くんの言葉に従いチームに別れた。
戦闘班のA班、救出班のB班。そして、


「C班は情報収集だ。寺坂を壁に、新稲を指揮官として、各自の力で偵察と脱出経路を探してくれ」


私はC班だ。
だけど、肝心の律が...


「そして律、各班の円滑な連絡頼んだぞ」


磯貝くんがモバイル律を取り出してそう言うと、中の律はものの見事にニート化していた。


「...ごめん。地下空間って言われた瞬間になんとか頑張ったんだけど...ハッキングされた」


私が申し訳なくそっと手を出して言えば、隣にいた寺坂くんに気にすんなとばかりに肩をポンポンと叩かれた。


「...圏外になるまでのこの短時間で、私の改良した律が乗っ取られるなんて...」


悔しくて下唇を噛み締めながらそういえば、竹林くんが「優れた殺し屋は万に通ずる」と一言いい、確かにその通りだなと私は頷いた。


「でも、サチが皆に配ってくれたオフラインでも使えるこのアプリあるし」


と不破さんがアプリを起動するのを筆頭に、全員が、そのアプリを起動した。


「ごめん皆...臨機応変に対応して」


私もアプリを開いてそうえいば、全員がコクリと首を縦に振った。


「警戒を忘れるな、散るぞ!!」


そして、磯貝くんのその言葉に、各々が班としての目的を抱いて走り出す。






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