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渚くんのお母さんがやってきて、烏間先生に扮した殺せんせーが渚くんのお母さんと三者面談をすること10数分。私たちはいつかのビッチ先生くっつけよう作戦の時のように外に出て、窓の下に待機して見ていた。

うまくいくかなと顔を見合わせながらそわそわしていれば、途端に響く渚くんのお母さんの怒鳴り声。あまりの声の大きさに私たちは耳を押さえてうずくまった。怖すぎる。

渚くんのお母さんは大声をあげてドアを勢い良く閉じて教室を出て行った。


「うーむ、つい強めに言ってしまいました」
「...殺せんせー」


教室の中で殺せんせーと渚くんが話をする。私たちはそれを外から静かに聞いていた。


「最も大事なのは君自身が君の意志をはっきりということですよ」


殺せんせーのその言葉は、渚くんをどう変えたのだろうか。
私の頭にも残ったその言葉は、私をどう変えるのだろうか。




「じゃあ私今日よるところあるから」
「ん?そなの?」
「さようなら、サチちゃん」
「気をつけてね」


いつも通り愛美、莉桜、原ちゃんと歩いて学校の坂を下りたところで、私は三人に手を振った。いつもなら駅付近まで一緒に向かうのだけれど、今日は寄る所があったのだ。私は三人と違う道を歩く。

今から行く所は、去年ぶりに行く所だった。




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