姉ちゃんのお悩み相談室(1/2)

※アニメ・はらおドリ編のネタ含みます。




「聞いて欲しいジュバ〜ン。あの人ったらね、」


かれこれ30分はたっただろうか。ドンヨリーヌの発するどんよーりした空気を肌で感じながら、景太は思った。

そもそもは、学校で遭遇したはらおドリを退治してもらうため、ドンヨリーヌを呼び出したのがすべての始まりである。彼女のお陰で、フミちゃんのお腹丸出し事件は未然に防げたのだが、どうやらドンヨリーヌは夫であるホノボーノと喧嘩中だったらしい。はらおドリを倒したあとも、帰りたくないという駄々をこねて景太の傍でどんよりしていた。


「もうきっと、あの人はアタクシのことを愛してはいないんだわ」


その台詞、何度も聞いたジュバ〜ン。込み上げてくる言葉を飲み込んで、景太は「そんなことないと思うよ…」とドンヨリーヌの言葉を優しく否定する。実際ホノボーノは喧嘩するたび、毎回彼女を迎えに来るのだ。喧嘩するといっても、きっとドンヨリーヌが勝手に出ていっているのだろう。

「だって、」と、ドンヨリーヌのまだ話は続くらしい。ああ、もう何度目になるのか。さすがに、愚痴を聞くのも飽きてきた。

ジバニャンは堂々とベッドで寝ているし、隣のウィスパーなんて、堂々と妖怪パッドでネットサーフィンしている。人の話を聞く態度じゃないだろ!


「ケータくん、聞いてるジュバ〜ン?」
「え?!ああ、もちろん聞いてるよ!」
「…どうせあなたもアタクシのことを面倒くさい女だと思ってるのね」


どんより。彼女の名前のとおり、景太の部屋はさらに暗い雰囲気に包まれた。
取り憑かれてないだけ、まだましか。いや、でも、誰か助けてー!


「ただいまあ」


その時聞こえた声は、確かに救世主だった。


「ドンヨリーヌ、ちょっと待ってて!」
「ええ?そうやってどっかに逃げるんじゃないジュバ〜ン?」
「逃げないよ!ちょっとだけ、ね?」
「わかったジュバ〜ン」
「ウィスパー!ちょっとの間頼んだよ!」
「え?ええ?!」


ウィスパーのことは見向きもせず、景太は走り出したのだった。