クリスマスについて(大ガマ)

妖怪にとって、クリスマスはどういう一日なのだろう。特に所謂古典妖怪と呼ばれる彼らたちにとっては。気になって聞いてみることにした。


「クリスマスだあ?お前、あれだろ、クリスマスってのは最近入ってきた文化だろ?」
「うん?そう、かな?多分…」
「昔はそんなイベント?なかったぜ」


腕を組んで、大ガマが不機嫌そうに言う。クリスマスに対して何か不満があるのだろうか。彼がこんな風に鼻から否定するなど珍しいことだった。


「大ガマはクリスマス、嫌いなの?」
「べ、べつにぃ?どうせクリスマスに七海を誘ってもバイトでいないから嫌だとか、そんなこと思ってないぜ?」


…思ってるんだ。
てかクリスマスがどういう日か、ちゃんと知ってるんだね。


「あのね、大ガマ。クリスマスはバイト、入ってないよ」
「は、はあ?!なんだって?!」
「せっかく大ガマと遊びに行こうかなって思ってたんだけど…嫌なら仕方ないね」
「おおおぅい、ちょ、待て。あれだ、七海がどうしてもってんなら今からだって予定はあけられるぜ!」


ツンデレか。ツンデレなのか。
慌てて私の両手を掴み、ぶんぶんと振る。「だ、だからオレと一緒に出掛けようぜ!」急にデレる本家大将。仕方ないなあ、という風に笑えば大ガマはうっすらと頬を染める。そして。


「七海、クリスマスはお前を一人占めできるってことだよな?」


確認するように笑みを浮かべて、今度は私が頬を染める番だった。