テクニシャン、僕


夜目が覚めたら…



「え、なにコレ。」




僕が花子ちゃんになってた。




「えええ何コレ楽しいと言う事は花子ちゃんの体触り放題?あ、胸柔らかい。」




むにむにと自分…というか花子ちゃんの胸を両手で鷲掴んで感触を楽しみながら
目の前の鏡をじっと覗き込む。
うん、間違いなく僕は花子ちゃんだ。


何がどうしてこうなったのかは分からないけれどまぁどうせいつかは元に戻るんだろうし
だったらその間いつだって好き放題されてる分僕がこの身体を好き放題したってバチは当たらないだろう。



「んっふっふ〜それにしても柔らかい肌…いい香り。」



ド変態だけど流石僕の彼女だなぁって感心する。
ぎゅっと自分の体を抱きこむ様にして包み込んでとても満足。
嗚呼やっぱり花子ちゃんは本当に可愛いなぁ。



そして一通り彼女の体で遊んでからふと気付いてしまった
気付かなくてもいいと言うかどうして気付いちゃったんだろう僕は。




「…………僕の体が危ない!!」




可愛らしいパジャマのまま部屋を飛び出して一直線に僕の部屋へと猛ダッシュ。
そうだよ、僕が今花子ちゃんって事はもう間違いなく僕は…
僕は…!!!!



「花子ちゃんが僕の体を穢してしまう前に…間に合ってくれ…っ!!!」



必死の形相で言ってしまうのも仕方がない。
いや僕の体が純粋潔白な訳はないけれど何か…



なんか花子ちゃんの手に掛かればもっと穢されそうな気がするんだよね!!!




それこそ白を黒にするとかそういうレベルじゃなくて
漆黒を更に何か上乗せで黒くしちゃうようなそんな感じ!!!



「花子ちゃん!!ちょっと待って!待って待って!僕の体に触らないで!!」



「あ!ライト君っ!やっぱりライト君が私になってる〜ふふっ。」



「時は全て遅すぎた!!!」


勢いよく自室の扉を開けてみれば花子ちゃんは…と言うか僕の体はそれはもう無残な姿で…
あの、もうホントごめんなさいモザイクかけたいと言うレベルだったので
膝から勢いよく崩れ落ちてその場で咽び泣く。
穢された!!!!穢れてた僕がもっと穢された!!!



「もうもう、そんな入り口で泣かないでよーっと」



「へ?えっと花子…ちゃん?」



僕が泣いている間に色々体から引き抜き終わった彼女がゆったりと歩み寄ってそのまま軽々と僕を横抱きで抱え上げる。
外から見たら花子ちゃんが僕にお姫様抱っこされてる状態でとても微笑ましいけれど
忘れてはいけない。
今僕達の中身は入れ替わっているのだ。



「まってまって花子ちゃんやだ離して降ろしてやだ怖い。」



「んもう!今は折角入れ替わっれるんだから私…僕の事はライト君って呼んでよ〜?んふっ♪」



「ねぇ!何する気!?僕になりきって何する気!?花子ちゃんホント怖い!!!」



彼女の黒すぎる微笑みにもはや涙目になりながらじたじたと暴れるけれど
流石体は吸血鬼の僕。
全くびくともしないままあっさりとベッドまで運ばれてしまった。



「や、やだ…花子ちゃん、やだ…」



「ライト君、女の子は男の子より穴が少し多くてね?」



「いやいやいやいや!!!大切にしよ!?自分の体もっと大切にしよ!?」



のしっと上に覆いかぶさって来た花子ちゃんが言わんとしている事を察してしまい
何度も高速で首を横に振るけれどその抵抗虚しく唇を深く深く奪われてしまう。
あ、どうしよう…すっごく気持ちいい。
花子ちゃんって僕のキスで毎回こんなに気持ちよくなってくれてるんだ…




それってちょっと…嬉しい、かも




…じゃない!
そんな乙女チックな事考えてる場合じゃなかった!!!
穢される!!!今度は本格的に僕が僕に襲われてしまう!!!
何度もやめてって広い背中を叩くけど全然やめてくれなくて
気持ちよさでくらくらし始めたころにようやく解放され、大きく酸素を補給する。



そしてチラリと見えたとっても無邪気で可愛い瞳は僕なのに紛れもない花子ちゃん自身だった。




「変態なライト君には女の子の気持ちよさも体感してもらいたいなぁ…」



「いやいやいやだってそんな絶対普通の気持ちよさだけじゃないでしょなんかするんでしょホントやめて僕だって変態だけどここまで怖い思いは…あっ、」



そこからの記憶はもうあんまり残ってない…
只なんか…一つ言えることと言えば



逆巻ライト君、超テクニシャンだと言う事だけである。




それから数日、元に戻るまでそれぞれとして過ごしてきたけれど
僕が入ってる花子ちゃんはビッチちゃんに「最近すごく常識人っぽいけど熱あるの?」って心配されたし
花子ちゃんが入ってる僕はアヤト君に「いくら変態だからってここまで覚醒するとは思わなかった警察行くか?」って真顔で言われちゃったので…



僕は僕のアイデンティティーを守るためにもう一度変態行為で停学になる勢いでもっとアピールしていこうと思います。
変態具合で彼女に負けてしまうとか何だか変態粘着質系ドSの威厳が…威厳が!!!!




「もう!花子ちゃんより変態になれるHowTo本とか誰か作ってよ!!!!」




そんな虚し過ぎる心の叫びが響き渡って消える。
入れ替わりから3日後、ようやく元に戻った自分の体を慈しむ様に抱き締めた悲し過ぎる深夜帯。


可哀想…僕の体、本当に可哀想。
でも花子ちゃんの体でされたアレ…すっごく気持ちよかったです。



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