7:俺のイケメン彼女


「こうしてコウ君とデートなんて久しぶりだね。」


「どっかの誰かさんが逆巻さんばっか追いかけてるからでしょー?」



ブツブツと文句を言うけれど俺の手はしっかりと花子ちゃんを離さないまま、街中を歩いてく。
何だかんだでこの状況に浮かれてしまうのは彼女が好きだからなんだなぁなんて、少し少女チックな事を考えてしまう俺は相当末期だ。


「それにしてもやっぱりコウ君は人気者だね。変装しても女の子にキャーキャー言われるなんて。」


「そうだよ!そんな人気者の俺に選ばれた事を光栄に思いなよね!」


俺は超人気スーパーアイドルなんだから、そんな俺の周りには望まなくたって女の子達が黄色い声をあげて寄ってくるんだ。それは悪い気はしないけれど

時々、それが花子ちゃんに嫌な思いさせてるんじゃないかな〜とか
ホント時々考えてしまう事がある。
だからこうして街中を歩くときは極力ばれないように変装しているのだけれどそれでもやっぱりばれるときはばれてしまうみたいで…


「…ねぇ、花子ちゃん。やっぱり俺とお出かけとかめんどくさい?」


「何突然。」


「だって、」


さっきも俺のファンの子に気付かれて、すぐに囲まれてしまって若干パニック状態になってしまった。
そして彼女達の視線は俺と手を繋いでいる花子ちゃんに集中してすぐさま彼女に嫉妬と憎しみの感情が突き刺さったのだ。

もし俺がアイドルじゃなくて只の一般人だったら花子ちゃんにあんな思いさせなくてすんだのかなぁって思うとちょと心が痛い。


「…いつも我儘俺様なコウ君がしゅんとしてる顔激レアやばい萌える。」


「ちょっと、人が真剣に…」


「だーいじょうぶ」


茶化す(いや、若干本気の目)彼女に少しむっとしていたら握られた手にぎゅっと力を込められてニッコリ笑った彼女はまるで太陽のようで。

「超人気スーパーアイドルのコウ君はそんなやわな女選ばないよね?」


「………なんなのアンタ、格好良すぎ。」


まぁコウ君が気にするならお部屋デートでもいいんだけど
と、逆に花子ちゃんに気を遣わせてしまった自分が恥ずかしくて
そしてそんな男前な彼女にときめいて

「あ、あれってもしかしてコウ君!?」

そんな周りの女の子の声を合図に
丁度いいと、思いっきり彼女の手を引っ張り走り出した。


「こーんなイケメンアイドルに惚れられたんだ!覚悟決めてよね、花子ちゃん!」


「照れた顔を隠すために走り出すコウ君ぐうかわ。」


「もう!ちょっとは俺にだって格好つけさせてよ意地悪!」


互いに大きく笑い合いながら全力で走り抜け
街中をひたすら逃避行した俺達の手は絶対に離れることはなかったのだ。



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