俺は満点


「何よ何よ!ルキ君のばかー!!なんで私が殴られなきゃいけないの!!」



「ご…ごめんね花子さん…俺のせい、で…」




私の頭にはちいさなたんこぶがひとつ。
そしてぷんすこ怒っちゃった私を見て愛しのアズサ君はしゅんとその可愛らしい眉を下げちゃうけれどアズサ君は悪くないと思う。
あの鬼畜無慈悲鬼参謀がすべていけないんだ。



「何が“アズサの成績が下がった。最愛の学力管理も恋人の仕事だろう”だ!馬鹿野郎!!アズサ君はちょっとお馬鹿でも天使だからいいんだもん!!」



「うぅぅ…花子さんに馬鹿って、いわれた…」



「あ、ごめんごめんアズサ君さっきのは言葉のアヤだよ間に受け取っちゃヤダ。」



私の言葉にじわりと涙をうかべちゃったアズサ君にゴメンナサイのハグをすれば
その涙はすぐに引っ込んで嬉しそうに抱き返してくれたからアズサ君マジ天使。
けれどこうしてる場合じゃない。
アズサ君の成績を何とかしてアップないと私の頭が中間テストと期末テストの度に鬼畜参謀にボコボコにされてしまう。




「よっし、アズサ君!お勉強会しよう!んでいっそのことあのたれ目鬼よりいい成績とっちゃおう!!」



「たれ目鬼…って、ルキの…事?…ふふ、いいなぁ、ルキ…花子さんにあだな付けてもらって…」



「じゃぁじゃぁアズサ君はこれから天使って呼んじゃうー!!」



何と言う事でしょう。
目の前の私達人間を喰らう化け物の背後に白い羽が見えてしまいます。
ルキ君の悪口言ったのに羨ましいとかもうホント天使だよね!!



そんな事を考えて、顔面を緩ませながらも取りあえず今日の授業の復習をしようと思って二人でソファに腰かける。
只の勉強会だけど、こうしてアズサ君とくっつけるのはとても嬉しい。




「えっと、じゃぁノート見せて欲しいな。どんな感じに授業纏めてるのか見たら対策とかも練れそうだし。」



「…………じゅぎょうを、まとめ、る?」



「………ん?」




ビシリ。
私は笑顔で全身を氷の様に固めてしまった。
え、なに?
あ、アズサ君なんで首かしげてんの?
じゅ、授業を纏めるという単語初めて聞きましたよ的な感じできょとんとこっち向いてるけど一体どう言う事?
あれ、私の記憶が正しければアズサ君ずっと授業中起きてノート書いてるよね。え、何ちょっとまって私軽くパニック。


何だか嫌な予感がしてノートを持ってきょとんしてるアズサ君の手からそれを奪ってパラパラとページをめくっていけば
次第に私の体はぶるぶると震えだして顔はとんでもなく真っ赤になってしまう。




「あ、あず…あず…アズサ君授業中になにかいてんの…」



「だって…俺、は…いつだって花子さんのかわいいとこ…覚えてたいから…」



「お、怒れない!!!そんな可愛い事言われると怒れないよアズサ君!!」




羞恥で涙目の私にアズサ君は当たり前の様に微笑んでそんな事を言うから
このとんでもないノートの内容を怒ることが出来ない。
くっそう!可愛い!!私の彼氏めっちゃ可愛い!!



そう、彼のノートの内容は全て私の授業中の仕草とそれに対する感想だったのだ。
『花子さん眠そう…うとうとしてるのかわいい』
とか
『えんぴつくるくる回してる…あ、落とした、ビックリしてる。かわいい』
とか
『消しゴムおとしてあわあわしてる。かわいい』
とか!!!
ていうか基本アズサ君の私への感想がかわいいでもう恥ずかしくて今すぐ死んでしまいたい!!



「こ、これは成績さがるわー。納得だわー。うわぁぁぁ」



「でも…花子さんの事…だったら…ひゃくてん、だよ?」



「…………うん、ソウダネ。」




ヤダやめてよそのドヤ顔かわいい。
それから5時間くらいかけて授業中は先生の言葉とか授業の内容をメモするようにと説得したんだけれど全然きいてくれなくて
しまいには泣きながら「俺に花子さん以外を見ろっていうの…?」とか言われてしまったので…。




次の日から私は二人分のノートを一生懸命取る事にしました。




そしてアズサ君は相変わらず日々、私の事に対して猛勉強中です。
きっと私の事に関しては偏差値70軽く超えてる気がします。



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