キミにトクベツ
シュウさんは大人気のアイドル。
頭では分かってる…他の女の子達だってキャーキャー言っちゃうの。
仕方ないよね、シュウさん格好良いし。
でも、うん…
ちょっぴり…ほんのちょっとだけむかむか。
「最近落ち込んでるって思ってたらそんなくだんない事考えてたのか。」
「うぅぅ…ごめんなさいシュウさん。こんな初歩的な嫉妬、アイドルの彼女として失格ですよね。」
久々にシュウさんのお仕事がお休みでお部屋でゆっくりしていたけれど
突然の彼の質問攻めが始まってしまい気が付けばベッドの上で正座させられて大反省会。
シュウさん曰く、最近私が浮かない顔をしているのが気になっていたそうだ。
「分かってるんです…分かってるんですよ!?頭の中では!!で、でもやっぱり私もシュウさんのファンのうちの一人にしかすぎないのかなーって時々おもってですね…」
「ふーん…つまりは何か俺のトクベツが欲しいって訳だな?花子だけのトクベツ…」
「?シュウさ…あ、」
しょんぼりと俯いてれば不意にそっと体を押されてスプリングを揺らしてしまう。
天井がやけに広く見えるなーって思ってればのしっとシュウさんが覆いかぶさってすっごく素敵な笑顔で微笑んだけれど
とんでもない事しか考えてなさそうなのでぶわわと嫌な汗が流れてしまう。
「手始めに、“とっておきのキスマーク”…付けてやるよ。」
「え」
ちゅっ
ちゅう…
じゅっ、
「あ、や、ん…っいぅ、」
「ん、…ははっ、結構イイ感じだなコレ。」
満足気に笑うシュウさんの左手には私の足。
既にそこだけでも沢山の赤い痕が刻まれてしまってる。
「全身俺のキスマークだらけにされた気分はどう?…ん?」
「や、やだ…こんなの…んぅ!?」
「嗚呼、足の付け根…まだだったな…ん、」
嗚呼、また赤いのがひとつ増えた。
もうこんなに沢山つけられてしまっては暫く外なんて歩けない。
隠すとかそう言う次元じゃないもんこれ。
「ねぇ花子、ココ…まだ触ってないのにもう濡れてるんだけど…どういう事?」
「あ!」
「痕、付けられただけで感じちゃった?可愛いな、あんたは…」
ぐちゅりといきなり敏感な部分に指を立てられてしまい腰も声も跳ね上がる。
ぐいぐいと無遠慮に入り込んでくる指は確実に私の気持ちいいところばかりを責めあげるからもうどうしようもない。
「あ、あぅ…あ、あ、」
「虚ろな目で涎垂らして痙攣、…なぁ花子。俺がここまで気持ちよくさせてやってるのはあんたが特別だからだよ?」
もうすぐ絶頂だという所で引き抜かれてしまった指に思わず「や」と声が出る。
このままイきたかったのに酷い…
もどかしくて縋る瞳を彼に向ければちゅっと優しいキスが降ってきて、ぬるりと入り口に宛がわれた彼自身。
「俺はどうでもイイ女に所有の証も指もコレもくれてやらない。花子…あんたがトクベツなんだ。分かって?」
「あ、あ、はいって…き、たぁ…」
「ん、花子…もっと自惚れていい。いっそ自意識過剰になっちまえ。…俺はそれ位花子の事、愛してる。」
全身に付けられたトクベツ…
打ち込まれる彼自身…
刻み込まれる愛情。
全部が私の独占欲や優越感を満たしてもはや何も考えられない。
只々もっとこの感情を満たしたくて自分からも必死に腰を動かすだけだ。
「正直アイドル、怠いからいつだってやめていいんだけど…ん、そしたら大々的に惚気られなくなるから、な…んんっ」
「あ、んぅ…な、に…?なに、いって…あんんっ!!」
手加減なしに揺さぶられてしまい時折苦しいけれど
これが彼の全力の愛情なんだって思うとそれさえも心地よくて視界がぼんやりし始めたころ、そんな台詞に疑問を抱く。
のろけ…?シュウさんは一体何を言ってるんだろ…
「分かってないって顔…今度、花子と付き合い始めてからの俺の曲…ちゃーんと聞いてみろよ…っん、くっ」
「あ、あ、あ…っシュウさ…もう、私…ィ…っ!」
チカチカと視界が白黒してぎゅっと彼を締め付ける力が強くなる。
あ、だめ…もっと…もっとシュウさんが私の事…私だけを好きなんだって感じたいのにもう限界だなんてヤだ。
ぎゅっと彼に抱き付いてそのまま達せれば彼も低く唸ってそのまま私の中に欲を全部ぶちまけた。
嗚呼、なんだか嫉妬してた自分が馬鹿らしい…
「えっと、シュウさん…あの言葉って一体どう言う意味なんでしょうか?」
「んー?」
ちゅっちゅと、体を重ねた余韻に浸りながらも沢山のキスを未だに落としてくれてるシュウさんに先程の言葉の真意を問えば
ちょっぴり意地悪に微笑まれてしまう。
「曲の歌詞…俺が書いてるんだけど、よーく読んでみろ。全部花子へのラブレターとのろけだから。」
「……………え。」
それ以降もはや他のファンに嫉妬してしまう事はなくなったけれど
反対にシュウさんの愛の言葉と隠されたのろけ話が入り混じった新曲が出る度に赤面してしまうようになったのはまた別の話。
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