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    強い女シリーズ外伝

    伊之助
    ○月○日
    伊之助が食事の際、席につけるようになってきた。まだ箸が苦手なようで手掴みで食べてるが、全然それはいい。いっぱい食え。
    口の中に食べ物詰め込んだまま今日一日のできごとを話してくれようとするのなんて本当にかわいい。口の周りベタベタだから拭いてあげようね。

    でも何で急に寝る?

    ご飯に顔突っ込んで寝るなんてそんなことある?お前はポートガス・D・エースか?
    母ちゃんはじめてみたよそんな寝方。
    まあ今日は朝からずっと走り回って遊んでたようだし?うとうとする間もなく寝ちゃったのね?スイッチのオンオフが激しいね?


    ○月○日
    書類を片付けてたら伊之助が窓を突き破って帰ってきた。ちょうどその時忙しかったので後で片付けようと思って放っておいたら、いつもならずっと賑やかな伊之助が段々静かになっていった。
    どうしたんだろうと思ったら、なんか仕事机の横で待ってた。
    両手上げて待ってた。
    ハイタッチしたいの?と思ってハイタッチしてあげたら地団駄踏んでた。違ったみたい。
    ウリイイイイイイイ、っと怒りながら膝の上に乗ってきて母ちゃんの手から万年筆奪い取って投げてた。
    なんかおもしろそうだなと観察してみることにしたら、母ちゃんの両手捕まえて自分のお腹周りに置いてた。

    あっもしかして抱っこ待ちでした?????


    ○月○日
    久しぶりに明日は休みがとれたので、伊之助と山にでも行こうかと思う。
    寝室に向かっていると、廊下をダバダバ走る伊之助がいたので後をつけてみることにした。何やってるんだ、と思えば母ちゃんの仕事部屋に入っていった。
    そうそう、伊之助は最近扉を壊さずに部屋を出入りすることが出来るようになった。偉い。さすが山の王。
    部屋から出てきた伊之助がとってもワクワクした顔だったので、どうかしたのか聞いてみた。
    「親分からのプレゼントだ!喜べ!」と自信満々に言われた。
    えっすごーいありがとう!と扉を開いてみると、母ちゃんを出迎えてくれたのはね、バッタ。
    大量のね、バッタ。
    なんで??????????
    母ちゃんの脳内、もうはてなマークでいっぱいよ???????
    「バッタいっぱいいると楽しいだろ!集めてきてやったぜ!」
    おっ、お前ーーーー!!!www
    そういうとこ!!wwwww本当そういうとこwww
    ありがとうね自分がされると嬉しいことしてくれたのねwww
    でもね伊之助、忘れてるかもなんだけど今結構な夜遅くなわけですよ。深夜。母ちゃんが明日休みで仕事部屋使わなくて良かったね本当に。徹夜も覚悟しましたよ母ちゃんは。

    はい今から深夜のバッタ大量捕獲捕物帖の開幕ですからね?????????


    ○月○日
    書き物をしているとさ、空いてる手は紙を押さえているわけですよ。動かないようにね。
    最近その手の上に伊之助が顎乗せてくるようになった…。母ちゃんの手を顎置きにするんじゃあないよ。
    仕返しにその手で伊之助のほっぺをもちもちしてたら、母ちゃんの手食べたからねこの子。
    いや、全然痛くないのよ?もちゃもちゃ食べられてるけどね?
    それでもめげずにもちもちしてたら、ヨダレだらけの顔でピーンッ!って閃いた顔するの。
    何だ何だ?と見てたら、「さては母ちゃん、俺のほっぺた好きだな…!?」ってさも名推理みたいにぼそっと言う。
    ちげーよそういう事じゃねえよ!!!!!!!伊之助が母ちゃんの手好きなんでしょうよ!!!!!!!
    やめて。
    仕事させて。
    母ちゃんを笑わせようとしないで。
    無意識でもやめて。
    そりゃ極上のほっぺただとは思うけども。

    そして部下は笑いすぎて死んだ。


    ○月○日
    建物の強度や震度対策について会議してたら、それを母ちゃんの膝の上で聞いてた伊之助に「地震ってなんだ?」と聞かれたので簡単に教えてあげた。
    そうすると何やら唸りながら真剣に考え始めた。おもしろいのでそのまま放っておく。
    会議が終わって解散、となる頃に伊之助の考えがまとまったらしい。母ちゃんの足にへばりついて離れない。なにしてんだろうね。
    何をしてるの?って聞いたらすっごい元気よく地震がきた時の練習って教えてくれましたよ、えぇ。
    「地震がきても大丈夫だぜぇぇぇえ!!!!!俺様が守ってやるからな!!!!!!!」

    うん気持ちは嬉しいんだけどね、それ母ちゃんの足の間からお顔がこんにちはしてる時に言っちゃうとね、愉快なだけだからね。
    母ちゃんが足閉じたらあなた動けなくなっちゃうからね。そおれクローズザドア〜〜〜

    「はさまった!!!!!!!」じゃないのよほんとに。


    ○月○日
    いつも食事の際は主食が米なので、たまには、と思ってパンを初めて出してみた。怪訝そうな顔しながら箸でパンをつんつんしてたから口の中に入れてやったら大人しく食べてた。ふかふかパンはお気に召したようです。

    ○月○日追記
    ふかふかパンが忘れられなかったらしい伊之助に母ちゃんは太ももをこねられながらこれを書いています。
    打ち合わせ中に入ってくるなり「母ちゃん 今から パンな」と言い放ち母ちゃんの太ももをふみふみコネコネしています。その場に居合わせてしまった役員達は笑いを堪えながら、どうしたらいいのかわからないって顔をしています。
    私はパンです。雑なぐーぐる翻訳みたいだな。
    母ちゃんの秘書がボソッと「新手のセクハラか…?」と言うもんでその場の全員が吹き出しました。



    善逸・獪岳
    ○月○日
    夜中、善逸が布団の中でモゾモゾと眠れない様子だった。どうしたのかと顔を見ると耳を抑えていたので、なるほど、音か、と納得して抱っこしてやった。
    母ちゃんの心臓の音以外聞こえないように抱え込んでやったら、表情が柔らかくなってぷすー、ぷすー、と寝始めたので良し。
    薄目を開けてこちらを見ていた獪岳も呼んでやると、いいのかなあ、でもなあ、と迷いながらおずおず布団に入ってきた。羨ましかったらしい。
    バレてないと思っているっぽいが、ものすごく満足気な顔をしていたのでバレバレであるこの息子。


    ○月○日
    今日からお兄ちゃんサービスデーを作ることにした。
    いつもお兄ちゃん頑張ってくれてる獪岳のわがままを聞く日!
    さてどんなわがままか、欲しいものか?行きたいところか、やりたいことか?
    期待して待ってると、すごい真剣に考え込んでた。
    しばらくして決まったらしい獪岳のわがままは、「抱っこしてて…」だった。
    抱っこして、じゃなくて抱っこしてて。
    もうその日一日ずっと抱っこしててやったわ。


    ○月○日
    長期の仕事が入ったので、じいじのところに息子二人を預けて仕事に行っていた。やっと終わって久しぶりに帰ってくると、遠目に息子二人が見えたのでおおーい!手を振ってみた。
    獪岳は走ってこっちきたけど、善逸はなんかその場に倒れ伏してた。獪岳を抱き上げて近くまで行くとじたばたしながらなんか言ってる。えっと、なになに?
    「ふへへへ、母ちゃん、久しぶりの母ちゃんだあ、へへ」
    ……………。
    まさかとは思うが息子よ……………。
    母ちゃんのことが好きすぎて久しぶりに会えたから嬉しくて倒れ伏したん……………?


    ○月○日
    一日まるっと休みがとれたので、息子二人とお出かけしようと準備してたら、なんか母ちゃんの周りをぐるぐるまわりはじめた。隊服じゃないから珍しいのかしらね。二人とも嬉しそうな顔してたのでお出かけが楽しみなんだなと思ってたら違ったっぽい。ずっと喋ってるよこの二人。
    「どこから見てもかわいい〜!」「綺麗な色の着物だ」「母ちゃんのお顔がもっとかわいくなってる…!?」「爪紅も塗ってある」「お化粧してなくても母ちゃんかわいいけど、お化粧したら、もっと素敵になるね…????」「母ちゃん、人さらいにあっちまうぞ」
    えっ笑
    ありがとうございます笑
    なんだどうした母ちゃんはようやく前世で積んだ徳が作用してきたか?笑


    ○月○日
    この前のお出かけの話を息子たちがしていたので、ちょっと気配とか音も消して聞き耳をたててみた。
    あっ笑また善逸褒めてくれてる笑
    息子たちを褒めまくって育てた弊害がここにくるとは思わなんだ。
    ちょっと笑いそうになってると、善逸の話を黙って聞いていた獪岳が真剣な声色で厳かに口を開いた。

    「母ちゃんが かわいいってことは 母ちゃんの息子の俺たちって とんでもなく かわいいのでは…?」

    ヒィッwwwwwwwwww
    その通りですwwwwwwwwww


    ○月○日
    最近思うんですが。
    善逸は母ちゃんに抱っこされるたびに「デヘヘ」っていいすぎじゃない?


    ○月○日
    ちょっとお手伝いして欲しいな、と獪岳を呼んだらビクッとして静かに泣き始めた。
    びっくりしてどうしたのか聞いたら、皿を割ってしまったのを隠してたらしい。バレたから呼ばれたんだと思ったっぽい。
    怪我はしてないみたいなのでいいんだけど、あまりにも静かに涙するからびっくりした。
    悪い事をした自覚があって泣き出すのハチャメチャにおもしろいな…画期的な自首だな…




    炭治郎・禰豆子
    ○月○日
    炭治郎がついてこい!と手をひっぱるのでついて行くと玄関に連れていかれた。
    草履を一人で履けるようになったから見て欲しいらしい。ちなみに出かける予定はない。
    よいちょ、よいしょぉ、と頑張って履いているので邪魔せず眺めていたら「かちゃ!履けた!」と満面の笑み。おやおや頑張ったねえ。
    頭を撫でるとふすふす言いながらなんか 待ち の姿勢になった。何を待ってるんでしょうか炭治郎さん。何故そんな期待に満ちたお顔をしているんでしょうか。
    あっ段々ちょっとしゅんとしてきました。ああーどうされましたーー???そんなしょんもりとしたお顔をなさらないでーーー????偉いねえ一人で履けるようになってお兄ちゃんだもんねーーー?????
    「んふふ、ふふふ」
    あっ褒められ待ちでしたかーーーーー!!!!!!!


    ○月○日
    これは炭治郎たちに強請られて泊まっていった日の翌日の話なんですが。朝起きるなり禰豆子の機嫌が宜しくなかった。とはいえやることといっても、お母ちゃんの膝の上から動かなかったり、何処へ行くにもついてくるとか。
    やってることは可愛らしい範疇なので好きにさせていると、出勤の準備を始めたら盛大にぐずりだした。
    ペしょぺしょ泣きながら足に引っ付いてる。でもこういう時に限って外せない仕事がある。罪悪感すごい。
    どうにかこうにか泣きやませようとしてると、突然立ち上がった禰豆子がお母ちゃんの靴の紐を解いて結んだ。
    右と左の靴の紐をな?

    あーーーーこれは歩けませんぞ禰豆子ーーーー?????


    ○月○日
    炭治郎が今日はじめて立った!!!!!!!!!!!!!!そのあとあんよもした!!!!!!!
    あんまりにもびっくりして炭治郎抱えて炭十郎と葵枝の所まで走った。その時炭治郎はきゃいきゃい喜んでたのでこの子は将来大物になるね。

    (何かの汚れ)
    ↖これは炭治郎のよだれの跡


    ○月○日
    竹雄にせがまれて文字を教えてやっていたら禰豆子がちょこちょこ隣に座ってきた。何かをするわけでも話しかけてくる訳でもないので様子見をしてみる。
    どうするのかしら。
    あら、お母ちゃんの?空いてる手を?とって?
    自分の?ほっぺたへ?……………え?
    セルフもちもち、してる………………?
    どう、どうして………………?お母ちゃんの得にしかならなくない………………?


    ○月○日
    今日炭治郎と町中で偶然会った。炭を売りに来たらしい。
    あいにくお互い仕事中か、また今度顔を出しに行こうと思って別れようとすると当然のように手を繋いできた。そのまま歩き出すので用事があったのかな?とついていく。
    ついていく道中、あら?私もしかして持って帰られてる?テイクアウトされてんな?と気付いたけど、まぁたまにはいいか、とそのままにしといた。茶屋で団子を土産に買ってやって、炭治郎を家まで送ったら仕事に戻ろうと思ったんだよね。
    炭焼き小屋に着いたので、じゃあ仕事に戻るね、って炭治郎にいうと「え!?いつからそこに!?」ってびっくりされた。いやずっとお母ちゃんのおてて握ってたん炭治郎やで。
    無意識だったん????????お母ちゃん持って帰ったの無意識だったん???????


    ○月○日
    英語でおやすみの挨拶のフレーズの意味を聞いたらしい炭治郎と禰豆子が突撃してきた。
    そうね、いつもはおやすみって言われたら普通におやすみって返してたもんね。道具の手入れしてたり他のことに集中してる時にポロッと英語で返しちゃってたのが気になったんですかね???
    Sleep wellとかSee you in my dream.とかだけですけどね???いい夢見てね、とかまた夢の中で会おうね、ってだけなんだけどなあ…。禰豆子は特に昔からこれ好きだったよねえ。
    お母ちゃん知ってるよ、禰豆子が英語で言って欲しくてタイミング見計らってたの笑
    かわいいことするよね笑

    今日はずっと離れてやんないもんね!とか言ってますけどそれ嫌がらせのつもりなんです????


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