凄まじい衝撃と痛みで目が覚めた。
なんだ、何事なんだ、と#name#の頭の中はパニック寸前。恐る恐る目蓋を持ち上げて、辺りを見回す。しかしどうにも状況が把握できない。どれだけ目を凝らしてみても、ここはきっと森、もしくは山の中。生い茂る美しい草木に少しばかり感動しながらも、結局ここは何処なのだろうかという疑問ばかりが湧いてくる。目が覚める前、自分は確かにベッドで寝ていた。大好きな漫画を読みながらいつの間にか寝ていた筈、なのだけれど。


どうやら自分は浅い川の中にいるらしい。どうりで寒いわけだ。


「あの、すみません」
「ぎゃああああああっ!」
「っ?!!」

後ろから急に聞こえてきた声に、思わず叫び声をあげてしまった。今までにないくらい心臓が煩い。




「...丁くんだ」
「っ、なぜ...私の名を」
「あ」

しまった、と口を押さえるも時すでに遅し。疑うような、恐れているような、そんな不信感ばかりの視線が丁から投げ掛けられる。どうしたものかと悩んだ末に、#name#は徐に丁へと近づいて視線を合わせる為、目の前に蹲み込んだ。そして小さな頭の上にぽんっと手を置いて、優しくゆっくりと撫でると驚きの表情を浮かべる丁に笑いかけた。



「こんにちは」
「...どうも」
「私は#name#っていいます。丁くんとお友だちになりたくて、ここに来ました」
「え」
「ごめんね...怖がらせちゃったかな?」
「い、いえ...そんなことは、ないです」




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