行こうか、と差し出された手を取ることはできなかった。
伸ばしかけて行き場を失った自分の手を慌てて引っ込めれば、ハオは怪訝そうな表情で#name#を見下ろした。






「ハオさん、髪の毛サラサラですね」
「ん?ああ、長いと絡まりやすくてね。一応それなりに手入れはしてるよ」
「ほほう...流石ですね」
「君だって綺麗じゃないか」
「え、そうですか?」



「髪にはね、昔からその人の命や魂が宿ると言われているんだ。もちろん霊力もね。今でも少数の神社では髪を奉納したりするだろう?神聖な儀式、儀礼...昔はそういう時に用いる為に体の一部として大切にしていたんだよ」
「そうなんだ...じゃあハオさんの髪が長いのはそういう理由で?」
「まあ、昔はね。一応陰陽師だったし。今はその名残かな。ずっと長かった髪を今更短くする必要もないからね」



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