暗くなったら、とは?
そんなことをひたすら考えていたら、いつの間にか辺りはどっぷりと暗くなっていた。見上げれば星空が広がっており、視線を戻せば所々に仲間達が用意したであろう焚き火が灯っていた。

これでまだ暗くない、なんて言い訳は通用しなくなってしまった。



「...行きたく、ないなあ」

早く行かなければと勇気を振り絞るものの、頭とは裏腹に身体は言うことを聞いてくれなかった。
ハオ様が嫌いなわけではないし勿論怖いわけでもない。ただ単に人が苦手で、傍にいると極度の緊張に襲われる。それが嫌なのだ。









「なんだ、いるじゃないか」
「は...ハオ様」
「寝てしまったのかと思ったよ」
「あ、あの...」




普段はマントで隠れているハオ様の手が、自分の方へと伸ばされる。
失礼かもしれないけれど、ハオ様は身長が高いわけではないしガタイが良いわけでもない。たまに見える腹筋は見事なものだけれど、顔立ちが物凄く綺麗で女の人に間違えられてもおかしくないその容姿。

それなのに伸ばされたソレは骨ばっていて、想像とは違いとても大きかった。




「...ハオ様の手、大きいんですね」
「え?」
「なんだか...かっこいいです」



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