シャーマンだった自分が幽霊になって、三日が経った。
元々人生を謳歌したいとかそんな気持ちが全くなかった#name#。家族も友達もいて、苦しいことも悲しいことも何もなかった。だからきっと、誰もが望む簡単そうで難しい"普通"という人生を歩めていたはずだ。

それでも#name#は自ら死を選び、14歳という短い人生に幕を降ろしてしまった。

両親も友達も、みんなが悲しんでいたのには申し訳なさを感じたけれど。薄情なことに後悔はしていない。






「私...未練、あったんだ」

少しだけ驚いた。
そろそろ成仏して、あの世というものへ旅立とうと思ったのだが。どうしても成仏ができない。

「どうしよう...」

幽霊なのに全身から冷や汗が出ている気がする。










「なあ、そんなとこで何してるんだ?」
「え?」

見上げれば、オレンジ色のヘッドフォンが印象的な男の子が自分を覗き込んでいた。




「あの...私が見えるの?」
「ん?ああ、普通に見えるぞ。オイラはシャーマンだからな」



「ちょっと、葉くん!」
「おお、遅いぞまん太」





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