「#name#」
「なんでしょうか?」
「これ、作ってくれる?」
「...フランスパン、ですね」
「うん」

はい、と手渡された雑誌を見てみればそこには "誰でも簡単!職人が作るフランスパン!" とありきたりな謳い文句が書かれた記事があった。

「...作るも何も、ここにはパンを作る材料ないんですけど」
「買ってくればいいじゃないか」
「誰が?」
「君が」
「ふざけんな」
「僕に口答えする気かい?」
「するに決まってるじゃないですか!頭引っ叩きますよ!」
「してみなよ...って痛い!!何するんだ!」
「いや、してみなよって言ったじゃないですか。ご自分の言葉には責任を持ってくださいよ。仮にも未来王なんですから」
「君、燃やされたいの?」
「そんなわけないでしょうが。アホなんですか?」
「...作ってくれないのかい?僕君が作ったやつ食べたいんだけど」


「あざとい!」
「で?作ってくれるのかい?」
「切り替えはやっ」
「どうなんだ?」
「...わかりました、作ります」
「やった」
「ただし!買い物にはついてきてもらいますからね」
「えー...僕人混み嫌いなんだけど」
「」
「面倒くさいなあ」
「...なんですって?」
「え、いや」
「なんですか?もういっぺん言って見なさいよ、え?」
「なんでもない...僕も一緒に行くよ。僕が頼んだんだし」
「そうですか、それは良かった。では行きましょう!」

ハオ様によく口答えできるな、なんてみんなには言われるけど。
この程度で機嫌を損なったりしてもらっては困るのだ。ハオ様は、こんなアホでもシャーマンキングにお方なのだから。

人を滅ぼしてまで神になるのなら、それだけの


「ねえ」
「はい?今度はなんですか?」
「ありがとう」
「...へ?」
「これでも#name#には感謝してるんだ」
「な、にを」
「君のそういう無意識なところ、僕は好きだよ」
「!!」





「...ハオ様は本当にずるいですね」
「はははっ、君ほどじゃないさ」
「どういうことですか?」
「君みたいな無意識って、ほんとタチが悪いよ」


そう言って笑ったハオ様は、なんだかとても嬉しそうだった。








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