chapter:Refusal~涙の理由 ――夜が明けて今日になった。 そして、オレはヘサームに身柄を拘束された。 ココは、奴の家。 はじめてココを訪れたのは、盗みをはたらいて、兵士たちから逃ていた時だったっけ……。 食べ物を分け与えてくれたヘサームが神様にも見えたくらいだ。 感謝してもしきれないくらい、とても嬉しかった。 これで家族みんな、飢え死にしなくてすむって、そう思ったのに……。 それなのに、ヘサームは兵士のひとりで、しかも媚薬に溺れるオレを組み敷き、喘がせた。 ココは、憎きヘサームの寝室だ。 オレの右手首には、硬い鉄の腕輪が取り付けられ、長い鎖で天蓋がついたベッドの柱に繋がれている。 オレの体には、さすがのヘサームでも、裸のままにさせるのは気が引けたのか、カンドーラが着せられている。 そんなオレの体は、ヘサームや、男たちに突っ込まれた孔の違和感がまだ消えず、ほぼ一晩中、体を組み敷かれたことで、とてつもない倦怠感(けんたいかん)が残っていた。 「ほら、朝飯だ。食え」 白のカンドーラを身につけ、スカーフを頭に被った兵士3人のうちひとりがそう言って、リンゴやバナナといった果物がたくさん入ったカゴを、オレの前に突き出した。 はんっ、冗談っ! 誰が父さんを見殺しにした兵士なんかの施しを受けるかよっ!! 「いらねぇよ、こんなもんっ!!」 |