アラビアン・ナイト
第七話





chapter:Refusal~涙の理由







――夜が明けて今日になった。

そして、オレはヘサームに身柄を拘束された。


ココは、奴の家。


はじめてココを訪れたのは、盗みをはたらいて、兵士たちから逃ていた時だったっけ……。



食べ物を分け与えてくれたヘサームが神様にも見えたくらいだ。

感謝してもしきれないくらい、とても嬉しかった。

これで家族みんな、飢え死にしなくてすむって、そう思ったのに……。



それなのに、ヘサームは兵士のひとりで、しかも媚薬に溺れるオレを組み敷き、喘がせた。



ココは、憎きヘサームの寝室だ。

オレの右手首には、硬い鉄の腕輪が取り付けられ、長い鎖で天蓋がついたベッドの柱に繋がれている。



オレの体には、さすがのヘサームでも、裸のままにさせるのは気が引けたのか、カンドーラが着せられている。


そんなオレの体は、ヘサームや、男たちに突っ込まれた孔の違和感がまだ消えず、ほぼ一晩中、体を組み敷かれたことで、とてつもない倦怠感(けんたいかん)が残っていた。



「ほら、朝飯だ。食え」



白のカンドーラを身につけ、スカーフを頭に被った兵士3人のうちひとりがそう言って、リンゴやバナナといった果物がたくさん入ったカゴを、オレの前に突き出した。




はんっ、冗談っ! 誰が父さんを見殺しにした兵士なんかの施しを受けるかよっ!!




「いらねぇよ、こんなもんっ!!」





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