chapter:Passion~アティファ さわさわ……。 さわさわ……。 すごく気持ちいい。 オレの頭を撫でているのはだれ? このまま――。 できるなら、ずっと、こうしていてほしい……。 オレはそう願いながら、目を閉じていた。 あれ? だけど、ちょっと待て。 オレ、たしかヘサームの看病で起きているはずじゃなかったっけ? でも、オレは今、目を閉じている。 「……って、寝てちゃダメじゃん!!」 頭が覚醒したオレは、伏せていた顔を上げて飛び起きる。 そうしたら、そこには、ヘサームがいたんだ。 ヘサーム、よかった。目が覚めたのか。 顔色もうなされていた時より、ずっとよくなってるみたいだ。 ……よかった。 ほっとひと安心したオレに、ヘサームは顔をしかめ、口を開いた。 「なぜ、まだここにいる?」 「なぜって……ヘサームが怪我したの、オレのジャンビーアを取り返すためだろ? 放っておけるわけないじゃんか……」 「俺は出て行けと言ったはずだ」 言うが早いか、ヘサームの手が伸びてきてオレの頬に触れた。 ――かと思ったら、次の瞬間には、もう一方の空いている手が腰に回る。 |