アラビアン・ナイト
第九話





chapter:Passion~アティファ







さわさわ……。


さわさわ……。




すごく気持ちいい。


オレの頭を撫でているのはだれ?








このまま――。


できるなら、ずっと、こうしていてほしい……。




オレはそう願いながら、目を閉じていた。



あれ?

だけど、ちょっと待て。


オレ、たしかヘサームの看病で起きているはずじゃなかったっけ?



でも、オレは今、目を閉じている。




「……って、寝てちゃダメじゃん!!」


頭が覚醒したオレは、伏せていた顔を上げて飛び起きる。



そうしたら、そこには、ヘサームがいたんだ。


ヘサーム、よかった。目が覚めたのか。




顔色もうなされていた時より、ずっとよくなってるみたいだ。


……よかった。


ほっとひと安心したオレに、ヘサームは顔をしかめ、口を開いた。


「なぜ、まだここにいる?」



「なぜって……ヘサームが怪我したの、オレのジャンビーアを取り返すためだろ? 放っておけるわけないじゃんか……」


「俺は出て行けと言ったはずだ」


言うが早いか、ヘサームの手が伸びてきてオレの頬に触れた。


――かと思ったら、次の瞬間には、もう一方の空いている手が腰に回る。





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