母さんは、あからさまにため息をついて、「ああ、わたしが生まれてくるのがもう少し遅かったら……」なんて他人事のように話している。 ――いやいや、母さん。 今はそんなことより今にも爆発寸前の花音を止めるのが先決だろう? 爆発した花音は誰にも止められないのは生まれた時からの付き合いでもうとっくに知っている。 「あたしが言いたいのは、そういうことじゃなぁああああいっ!!」 バンッ!! 花音はテーブルに勢いよく両手をついた。 母さんに向かって身を乗り出す。 母さんも花音も互いに一歩も譲らない。 このままでは何も解決しない。 父さん、頼むからこのギスギスした空気をどうにかしてくれ。 せっかくの誕生日もこれじゃあ台無しだ。 父さんを見ればーーああ、ダメ。 ぜんっせんダメだ。 父さんは母さんの隣で小刻みに体を揺らし、ソワソワしっぱなしだった。