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まだ微かに今夜のライブの余韻が残るライブハウスのステージに、俺は一人立っていた。
もう客席には誰もいないし、所属しているバンドのメンバーも皆帰った後だったけれど、何となく帰る気にはなれなかった。
俺は此処で時折ライブをやっているバンド、リュウカエンのギター兼ボーカルだ。
来てくれる客も、少しずつだけれど増えて来ている。
それでも、何か足りない気がしてならない。
それが何かは、きっと俺だけじゃなくメンバーも客も全員分かっている。
ただ言葉にしないだけで。
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Reservoir Amulet