lovelabyrinth.34


青い光が二人を包み込み、足元に影を踊らせる。

周りの風景も届く音楽も全て消えたように、夢のように体は勝手に動く。

この空間だけが時間からも離れ、永遠にこの時が続くような気がする。

それは胸を高鳴らせ、知らない何かを告げ知らせる感覚だった。

華憐は自分を映す蒼の眼差しから目を逸らせずに見詰め返した。

そして、母親が以前話していた事を思い出した。

ダンスを踊る事自体に意味があるのではなく、そこで確かめる想いが大切なのだと。

それは誰かに教えてもらうのではなく、自分で見付ける事なのだと。

王家に生まれた故に恋に夢など見ない娘を心配して、そんな話をしてくれたのだろう。

聞いてはいたけれど、許されないと知っていたから自分の身に訪れるとは考えもしなかった。

しかし今、この夢のような一時に何の前触れも無く、不意に全てが分かった。

視線を交わしながら何を感じ想うのか。

その歓びと、またその痛みも。





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