preciousjewel.10


「えっ?でも……」

「たまには良いだろう?いつも頑張っているから、ご褒美だ」

しっかりと荷物を抱えたままの手の片方を取って、店の中へと導く。

「安心しろよ。俺の目に狂いは無い。子供の華憐にも似合うのを探してやるから」

その言葉に、華憐は何故か一瞬だけ不満そうな顔をした。

複雑そうな、拗ねたような表情は初めて見るものだった。

それを見た途端、何かが胸の奥で騒いで。

これから、この幼い少女との関係が少しずつ変わって行く事を。

どんなに近くにいても、決して恋にはならない筈の関係が変わって行く事を。

目覚めを、芽吹きを予感させる確かな切っ掛けとなる。





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