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真っ先に勝ち進んだ蒼達の他にも上位に残ったチームが決まり、戦いは最終戦への出場を賭けて益々厳しくなっていた。

相手の様子を見ながら、華憐は心を研ぎ澄ませる。

何があっても冷静に、動じずに。

そう在る事で常に最善の道を取れるように、それが自分の心とは違う道でも躊躇わないように。

その感情の抑え方は、王家の者として教え込まれて来た。

こんな所で役に立つとは思わなかったけれど。

呼吸を整えて自分の鼓動に注意を向けていると、急に周囲の観客のざわめきが大きくなった。

何かあったのかと視線を巡らした時、戦いの場である劇場のステージの周囲に突き出した刃が光る鉄格子が現れた。

「随分、悪趣味だね」

見上げて呟いた信武に、阿紋が短く応じる。

「構わん。どうせ勝つだけだ」

「ああ、その通りだ」

蒼は不敵な笑みで隣に立つ華憐を見る。

「手早く勝って、俺達の強さを見せ付けてやろうぜ」

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