desolatecity.02
噴水の中へ飛び込んだ筈なのに、水の冷たさは感じなかった。
体は果てしなくどんどん下へと落ちて行く。
水とは違う重く息苦しい空気が体を包んでいる。
苦しくて思わずもがいた時、軽やかな手が蒼の手をそっと握った。
隣を見ると華憐がいて、目が合うと微笑んでみせる。
同時に息苦しさが少し和らぎ、下の方に小さな光があるのに気付いた。
目指すのはあそこなのだと、すぐに分かった。
光に向かって体を動かすと、そちらへ強く引っ張られるのを感じた。
みるみる光は大きくなり、視界を埋め尽くす。
「……っ」
不意に冷たい水を頭から被ったような感覚があって、頭を振ると髪から水が滴った。
見回すと少し離れた場所で華憐も同じように長い髪を絞っている。
立ち上がると、そこは膝位まで水がある浅い池だった。
「大丈夫か?」
華憐の方に歩み寄って手を差し伸べる。
「うん、有り難う」
華憐は手を取って立ち上がり、息をついた。
「何とか上手くいったけど、水繋がりで来たからこんなに濡れちゃったね」
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Reservoir Amulet