08
あの後は、新聞部の速水さんと言う人のもとに行き噂の出処を探したが結局のところは “不明” だった。
いつの間にか流れ出した噂だから仕方ねぇよなぁ‥‥。と翼くんが呟いてた。僕もそう思った。噂なんて誰が言い始めたなんて分かるようなものではないと思う。
でも、明良くんだけはどこか腑に落ちない顔をしていた。
「ほらよ。」
初等部の寮の門限の時間が近づいてきた。早く帰らなきゃ、寮母のタカハシさんに怒られてしまう。
そう思いながら帰り支度をしていたら、明良くんが僕にブレスレットを手渡してきた。
「なすび‥‥?」
ブレスレットには茄子型の石と丸く透明な石がぶら下がっていた。
「紫の方が俺のアリスストーン、透明なのが瞬間移動のアリスストーンだ。」
アリスストーン。
何度か授業でクラスのみんなと作ったことがある。その時に出来上がった僕のアリスストーンはオレンジと赤色が混じった、夕焼けを閉じ込めた様なアリスストーンだった。
「瞬間移動の石があればいつでも俺達の所に来れるだろ?」
そう言いながら僕を抱き上げる明良くん。
「‥‥うん。」
僕の返事に満足そうな笑みを浮かべた2人。僕もつられて小さく笑った。
−−−−−−−−−−
アリスストーンで移動して寮の自分の部屋に戻る。
戻る途中の廊下ですれ違うクラスメイトは、僕を避けるように端によって歩いていた。あの噂が初等部にも浸透した結果だった。
朝になりいつも通り学校に向かう。
昨日、高等部から帰宅したあと心読みくんと持ち上げくんと話した。
『僕と、友達のままでいて欲しい。けど学校で話してたら、先輩達の標的になっちゃうかもしれない。だから、寮にいる時以外は話しかけないでほしいんだ‥‥』
自分勝手な要求だと思う。
そんな要求に2人は頷いてくれた。
『学校以外ではたくさん喋ろうね〜』
『今度セントラルタウン行こーぜ!』
2人のことが大好きになった。
−−−−−−−−−
その日はたまたま、放課後を心読みくんと一緒に教室で宿題をして過ごした。ある程度終わり寮に帰る途中、ある出来事が起きた。
「おい化け猫〜、まだここ(学園)にいたのかよ!」
「早く出ていけよ!」
毎度おなじみのセリフを僕に向かって吐く中等部生。わざわざ初等部の方まで来て大変そうだね!って心読みくんが言った。
「無視してんじゃねーよ!」
ガツン!
とても、鈍い音がした。
聞いたことある音だった。
「心読みくん‥‥?」
横には頭から血が流れる心読みくんがいた。
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