▽無題

Free!
橘さん家のお姉ちゃん


それは突然に、唐突に、衝撃的に、訪れた。

「蘭おおきくなったらハルちゃんのお嫁さんになる！」
「じゃあ僕も！！」

満面の笑みで近所のお兄さんに抱きつく可愛い可愛い双子。
私の愛する妹と弟である。

「私でも言われた事ないのにっ！！！！」
「ね、姉さんっ！？」

ガツンと頭を横殴りされたような衝撃に崩れ落ちれば、愛しきすぐ下の弟が私を気遣わしげに寄り添う。
ああ、真琴は…真琴だけはあんな非情なことは言わないでくれと大人気なく涙目ですがりつけば、優しく背中をさすられた。

「…おい」
「うるさいこの泥棒猫め！！！」

キィッ！とハンカチをくい縛りたい気分である。
呆れたような声を投げてよこす男はもう弟分などという可愛いものではなく、私から可愛い可愛い双子を奪った敵だ。

「せめて初めてはお姉ちゃんがよかった…」
「誤解を招く言い方はやめろ」
「うるさいばかあ！」
「姉さん、近所迷惑だから…！」
「じゃあ真琴はお姉ちゃんと結婚してくれる！？」
「え、ええ？それは、ちょっと…」
「弟と妹が遙に奪われたー！！」
「おねえちゃんうるさい！」
「うるさいー」

私の味方はいないと言うのか…！
立て続けに私を責める双子に心が砕けた。
お姉ちゃんは繊細なの。
もっと優しくして

「愛がほしい…」

情け無くすぐ下の弟である真琴に抱きついて肩に顔を埋めれば、もう、しょうがないなぁ。と諦めの言葉が聞こえてきた。

「真琴、甘やかすな」
「そんなこと言ったって、こうなった姉さんは何言っても無駄なんだからしょうがないだろ」
「おねえちゃんかっこわるい」
「かっこわるいー」
「こら、蘭も蓮もそんなこと言ったらお姉ちゃん泣いちゃうだろ？」

私の味方は真琴だけか。
というより私よりも上らしく双子に言い聞かせる真琴マジおにいちゃん。

「お姉ちゃんだって甘えたい！」
「わかったから、だから外で騒がないでよ」
「へん、蘭ちゃんも蓮くんもハルちゃんがいいんなら、真琴お兄ちゃんはお姉ちゃんがもらっちゃうよ？いいの？お兄ちゃん独り占めしちゃうよ？」
「やだー！」
「だめー！」
「じゃあハルちゃんから離れてこっちおいで」

そういうや否やおにーちゃん！！と真琴を挟み込むように抱きつく双子。
そんな三人をまとめて抱き締めるようにして、遙にドヤ顔をしてやった。
どうだ、お姉ちゃんは人気者だぞ！
誰にもやらんぞ！

「…なんだこの茶番」


ーーーー
ブラコンとシスコンの合わせ技
ーーーー
最近弟分が冷たいです
弟と妹の可愛さを凛ちゃんと語らせたい。
松岡くんのどこがいいかってあんな感じで実はシスコンってとこが最高にクールだと思います。ドラマCD最高すぎか。

2017/06/14(19:23)