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▽勧善懲悪には程遠い

ダークサイド風主人公A

コメントいただいて調子に乗ってまた書いたよ!
※一部修正致しました

ボンクラ社長(二十代前半〜半ば)
鳳グループの若社長
なのでデフォ名苗字は鳳。
宿泊施設をメインに遊技場、最近は飲食業界にも手を出し始めた大企業。
中性的な顔立ちで一人称は私。
物腰柔らかだがどこか食えない印象の好青年。
常にゆったりとした見る人によっては余裕がある笑顔を浮かべている。
実際の性別は女だが、世間的には男として育てられてきた(ひとり娘で跡取りが居なくなる為)
この辺りの細かい設定はまだ考えてません。
多分亡くなった両親はいつかは女性として生きれるようにしてあげたい。っていう矛盾をかかえていたんじゃないかな。
父の知り合い、友人?だった毛利探偵は主人公の性別を知っている。
蘭とは幼い頃に一度だけ会ったことがある。実はそんなに顔を合わせた事がない(大体人がいない時を狙って毛利探偵事務所に主人公が来ている為)
一つの場所に留まることが苦手なのか、もしくは留まりたくない理由があるのか、短い期間で引っ越しを繰り返している。
ーーーーーー

「大切なのは疑問を持ち続けることだ。神聖な好奇心を失ってはならない…ってご存知ですか?」
「アインシュタインの名言だろ。だからって短期間であっちこっち引っ越してばっかじゃ秘書も困るじゃねぇのか?」
「私にそんな大それたものは居ませんのでご心配なく」

貴方から見た私はふらふらしたボンクラ社長のようですし?そう言えば彼はつまらなそうに鼻を鳴らして新聞を被ってしまった。
どうやら私の相手をする気はないらしい。

「まぁそうヘソを曲げずに。どうやら新しい事業に手を出したらしく近々オープンセレモニーを兼ねたパーティがあるようですよ」

きっちり三枚文の招待チケットを机に置けば、面倒そうな瞳が新聞をずらして此方を見上げた。
そう嫌そうな顔しなくたっていいのになぁ。

「めんどくせぇ。誰が行くかよ」
「残念。沖野ヨーコさんをゲストでお迎えしたようですが、面倒なら仕方ない。毛利さんがファンだときいていたものですから用意したんですが、無駄なことをしてしまいましたね」
「ヨーコちゃん!?」
「ええ。上層部で華やかなゲストを、とのことで依頼したのですが、どうやら毛利さんは気がすすまないようなので…これは他の知り合いにでもお譲りしますね」
「まあ待て!この名探偵毛利小五郎もゲストとして参加してやらうじゃあないか!!まったく、最初から言えばいいものを!俺とお前の仲じゃあないか!なあ!?」
「ははっ、それでこそ毛利さんだ。変わり身の早さは相変わらずのようで何より」

しかし彼がゲストとしてノリノリで参加してくれるに越したことはない。これで私の仕事は一先ず終了だ。

「では会場の1時間前にいらしてください。どうやら叔父が貴方にご相談があるようですよ」
「お前の叔父さんがねぇ」
「おや、ご不満でも?」
「別にそうじゃねぇけどよ、葬儀で一回会っただけだがどうも苦手なんだよなぁ」
「はは、彼は正に裏のボスって感じですからね」
「お前が一番食えねぇけどな」
「成る程、チケットは不要らしい」
「ばっか!ちゃんと依頼も受けてやるから返せ!!」

すっかりチケットは彼の物らしい。

「で、お前はそんな華やかなパーティにも暑苦しいネクタイ締めて参加か?」
「そりゃあボンクラでも一応社長ですから」
「お袋さんのドレスが日の目を見る日は来るのかねぇ」
「ご冗談を。あれは娘″が着る物だ」
「二人からしたらお前もれっきとした娘だろ」
「残念、私は大事な大事な跡取り息子″ですよ」

ハリボテの。とは言わずとも彼には伝わっているのだろう。
表舞台に出るのは常に息子の私だ。
人々に認知されて居るのも息子である私。
娘の私は知られなくていい。

「折角綺麗な顔で産んでもらってんのに勿体ねぇな」
「おや、もしかして口説いてます?」
「馬鹿が、誰がてめーみてぇな青二才を口説くんだよ。色気つけてから物言え」
「残念、パトロンを手に入れることができたと思ったのに」
「ほんとどうしようもねぇボンクラ社長だな!」

私をボンクラ社長だなんて呼ぶ人は毛利さんくらいだろう。
これでも一応会社の顔としては機能しているつもりだ。

「それではボンクラ社長は仕事がありますので失礼しますね」
「おう、とっとと消えろボンクラ」

この事務所を去る時はいつだって彼の虫を払うような仕草に追い出されるように出る。
くすくすと溢れる笑いに、どうやら私もこの追い払われ方を存外気に入ってるらしい。

ーーーーーーーー
別にボンクラではない。
毛利さんも本気で思ってるわけじゃないけど、そう見せようとしてる主人公の意図をなんとなく察して言ってるだけ。
本当は苦労してるのも知っていたらいいなぁという願望(笑)
ーーーーー


おっちゃんの知り合いに招待されて訪れたのは、やたらでかい屋敷だった。

「おや、叔父の部屋はここではないよ」

メイドに案内された部屋へ着くと、中に居た青年が穏やかな口調でメイドに告げた。

「俺がお前のとこ連れてってくれって頼んだんだよ」
「これはまた、毛利さんの熱烈なラブコールでしたか」
「気色悪ぃ言い方すんなボンクラ社長が」

どうやら彼がおっちゃんの知り合いらしい。

「え、もしかして鳳さんって、あの鳳さん…?」
「ええ、あの鳳さんです。蘭さんは相変わらずお綺麗ですね。最後に見た時よりも更に美しさに磨きがかかったようだ」
「ね、ねぇ!蘭姉ちゃん!このおにーさんと知り合いなの!?」

おい、何口説こうとしてやがんだこの優男。
茶目っ気たっぷり笑ってみせた優男に見惚れてる蘭も蘭だろ!!

「小さい時に一度だけ会った事があるの。すごく綺麗な顔をしてたから、最初は男の子か女の子かわからなくて…」
「特に当時はよく言われてましたね。どうです、今でも分かりませんか?」

ゆったりと笑ってみせた男は確かに男にしては線も細く、その口調や纏う柔らかい空気が更に中性的な雰囲気を醸し出していた。

「人の娘からかって遊んでんじゃねぇ」
「あいた。私の頭に拳骨する方なんて毛利さんくらいですよ」
「アホ、お前が甘やかされ過ぎてんだよ」

おっちゃんに軽く頭をどつかれてもへらへらと笑う様子はどこか掴み所がないように見えた。

「社長、その、雪菜様がいらっしゃったのですが…」
「叔父には秘密にしてくれと頼んだのに、仕方のないお人だ」
「いかがいたしましょうか…っ、雪菜様!まだ社長から入室の許可が…!」
「お兄様!雪菜に黙ってご帰宅されてたなんて酷いじゃないですか!!」

メイドの様子を伺うような声を押しのけて現れたのは高校生くらいか?制服姿の女の子だった。

「…お兄様、雪菜という者が居るにも関わらず女性を連れ込まれたんですか!?」
「ご招待したのは叔父だよ」
「お父様が?それじゃあお兄様の婚約者は私からこの女になるってことですか!?」
「雪菜、私は君とも結婚はできないよ」

いままで冗談めいた口調だったのが、その言葉だけは真実味を帯びていた。

「私は君の理想の旦那様ではないし、なれもしない。君のそれは最早洗脳だよ、雪菜」

諭すようなその声に、彼女が瞳に浮かべたのは涙だった。

「っ、そうやっていつも雪菜を子供扱いして丸め込もうとしてるんでしょ?もう雪菜は16だからお兄様と結婚だってできるのにっ!!」
「君の王子様にはなれない」

あ。
ぼろり。大きな涙を零して踵を返した彼女は、そのまま駆けるようにして部屋を去っていった。

「転げると危ないから止めてあげくれないかな?」
「は、はいっ!」
「君も、巻き込まれて怪我をしないようにね」

急いで彼女を追うメイドにそう告げた彼は、これっぽっちも焦る様子は見受けられなかった。
…女の涙にゃ慣れっこってか。

「…なんか、凄いもの見ちゃったね」
「…うん、そーだね」

メイドが置いていったティーポットを手に呑気に紅茶を淹れる彼は、先程の事などなかったかのようだ。

「今の子は?」
「ああ、雪菜ですか。叔父の娘であり、叔父が昔から私の婚約者だと言って聞かせていたせいでああなってしまいまして」
「なんだって?おい、お前の叔父はお前のこと知ってるんだよな!?」
「ええ、勿論」
「ならどうしてそうなるんだ!?」
「ちょ、ちょっとお父さん!鳳さんから離れなって!!」

なんだ?何が問題なんだ?
血相変えて鳳さんの肩を掴んで詰め寄るおっちゃんは明らかに怒っていた。
蘭に言われて漸く彼から手を離したが、それでもおっちゃんの怒りは収まらないらしい。

「なんでお前はそんなことになっても笑ってられんだよ。自分のことだろうが!」
「だからですよ。でも彼女はこのままではいけませんね。花も恥じらう女子高生。本来は青春を謳歌する年齢だというのに私のせいであの通りです」
「お前なぁ…!っ、はぁ…いや、いい。お前はそういう奴だったな」
「毛利さんは相変わらずお優しいようで。私ごときのことで貴方が怒る必要はどこにもありませんよ」

さぁどうぞ。と俺たちの前にティーカップを並べる彼はその微笑みを崩すことなく優雅にカップを傾けた。

「おっちゃんと鳳さんって、仲いいんだね」

なんとなく言った言葉に二人が正反対の表情を見せたことで、なんとなく二人の関係性が見えてきたような気がした。
どっちかってぇと鳳さんが絡みにきてんのな。
しかも彼の性格からしたら、はぐらかすような、からかうような、そんな掴めない発言ばかりなんだろう。
そりゃおっちゃんもあんな顔になるわな。

「恐らく叔父が貴方に頼むのは雪菜のことでしょうね」
「まさかあの嬢ちゃんとお前をくっつけろなんて無茶ぶりじゃねぇだろうな?」
「流石は名探偵、ご名答!」
「何がご名答だこの馬鹿!人事みたいに言ってるがお前も当事者だからな!?」
「私なんてあってないようなものですから」

あってないようなもの、一体どういう意味なんだろうか。
その言葉を聞いたおっちゃんの雰囲気が変わった気がして、なんとなく、聞くことができなかった。

「彼らを叔父の所へ案内してさしあげて」
「はい、畏まりました。あの、社長はどちらへ?」
「ボンクラ社長は散歩でもしてくるよ」
「…はい?」
「おーおー、好きなだけ行ってこい。ボンクラ社長なんざ居なくても関係ねぇんだろうしな」
「ははっ、流石毛利さん。おっしゃる通りですよ」

それでは皆さまごゆるりと。
そう言ってまるで演劇俳優のように胸の前に手を当てて深く一礼をしてみせた彼は、ゆったりとした足取りで部屋を去っていった。

「けっ、相変わらず掴み所のねぇガキだ」
「ちょっと、そんな失礼なこと言わないの!ほんと、父がすみません…」
「いえ、社長も気にされてないようですし、お気になさらず」

鳳グループの若社長、彼には何か、もっと別の顔があるような、そんな気がした。
探偵の勘ってやつかな。

ーーーーーーーーーー
主人公は不思議な人。
女って分かってて自分の娘と結婚させようなんざ、一体どこまでこいつの人生を奪う気だ!って思う反面、当の本人は他人事のようにへらへら笑ってるから余計腹たってるおっちゃんがいる。
毛利さんはこういう所熱い人だと思ってます。親心のようなものに近い。
ーーーーーーーー

「おっと、喫茶店のお兄さんがこんなとこに何の用、なんて聞くのは野暮ですかね」

組織の任務で訪れた先で声を掛けられたのは、鳳グループの社長だった。
相変わらず掴み所の笑みを浮かべながらわざとらしい喋り方をする辺り、余裕を感じられる。

「そうですね、知っていて敢えての質問でしょうから」
「ははっ、流石は名探偵毛利小五郎の弟子だ。あの人の弟子は楽しいですか?」
「ええ、毛利先生にはいつも学ばせていただいてますよ」
「成る程、それはよかった」

お互いに笑顔の裏で腹の探り合い。
社長とは顔と名前だけで、実質会社を動かしているのは彼の叔父だ。その叔父と繋がってるのが黒の組織ということを、彼も知らないわけではないだろう。

「資金援助とは素晴らしき響きだ」

何も知らないようでいて彼は知っている。

「貴方は何も思わないんですか?」
「何故?」
「だってこの会社は貴方の父親が経営していたのだから、本来なら貴方に権利があるはずですよね。まぁ、僕のただの興味本意ですので嫌なら答えていただかなくとも結構ですけど」

ゆるりと浮かべる笑みはいつだって余裕を感じさせるものだった。
いっそそれ以外の表情はないとでもいうほど、彼はどんな時もその表情を崩さない。

「さあどうでしょう。生きてる理由も分からない人間に会社のことなど考えようがない」

成る程。

「空っぽだからこそ何も焦る必要がない、と」
「ははっ、空っぽとはまた随分と的確なご指摘をされるものですね。ええ、確かに私は空っぽだ」

何がおかしいのかくすくすと口元に手を当て笑う姿は、見方によっては無邪気に笑う少女のようにも見えた。
それ程までに彼の見た目や纏う空気は中性的で、神秘的とすら思える瞬間がある。

「まぁ、そういうことなのでどうぞご自由に」
「物分かりのいい方で助かりましたよ」
「ははっ、私がそんなどうでもいい事に口出しするわけがないでしょう?」

常に余裕を纏った彼のその顔が崩れることは早々無いのだろう。
それでは失礼。と恭しく頭を垂れてから軽やかな足取りで去って行く背中に、何も考えて居ないからこそあんなにも軽やかなのだろうと思った。
空っぽな彼を埋める物は果たして存在するのだろうか。

ーーーーーーーーーー
ところがどっこい、彼は世の中に疑問を持ち、それを自己解決してるクレイジーな人間なのでした。
っていうちょっとしたホラー。
サイコパスとまではいかないんじゃないかなって思ってる。
この異常性に気付くのは誰になるのやら。
私自身も主人公のことあんまり把握できてないっていう(笑)

お付き合いいただきありがとうございました!
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません

2017/09/29(01:24)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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