ネタ

勝手に増えたり消えたりするネタ倉庫
赤井妹
工藤姉
星屑関連
勧善懲悪には程遠い
その他
他ジャンル
つぶやき

▽無題

裏社会のごはん屋さん

仕事が嘘だろおい嘘だと言ってくれよなぁ!?ってなるレベルでなんかもうアレなので、希望を見出す為に書きました。
ほのぼのしたい。切実に。
飲食店の良さを再び見つけたかった筈が大丈夫かなこれな仕上がりになってます。


裏社会のごはん屋さん

ごはん屋さん店主(20代半ば)
できることなら表の世界の綺麗なお店で働きたかった。
父親が裏社会の人たち御用達…しってる人は知っているくらい?のなんかちょっと裏社会の人たちの間でおいしいと噂になってるごはん屋さんの店主だった。
その為生まれた時から裏社会の人との触れ合いがあったりなかったり。
違うの、普通の女の子になりたかったの。
時すでに遅し、普通の女の子が知らないような知識も面白がって入れられてしまった不運系ヒロイン。
父親が亡くなり、ほんとうは継ぐつもりがなかったのに気付けば後を継いでいた。
料理の腕は父親譲りでうまい。
華やかさはなく地味だけどどこか懐かしいような、優しい味。
「相変わらず地味だな」
「なら食べなくてもいいんですよ」
「誰が要らないっつった。殺すぞ」
「なんでこんな命がけで飯屋やらなきゃなんないかなぁもう!!!好きなだけ食べってください!!!」
というジンとの会話。
黒の組織の人たちがよく来るとかそんな感じ。
おいしくごはんを食べる場所なので喧嘩、争いごとは禁止。
やろうものならもれなく銃口が口に突っ込まれる。
「ごはんを食べに来たんですか?それとも銃弾食べに来たんですか?」
笑顔で店主に問いかけられるよ!
自分の身は自分で守れる程度には武器が使えます。
たまに言葉遣いが悪くなる。
「あんのクソ親父いいいい!!!!」
みたいな。
貧乏性。
平凡を愛する小市民(自称)

ーーーーーーーー

「なんで職業で差別されなきゃなんねぇんだろうな。
うまいもん食ったら満たされんのが人ってもんだろ。
堅気の人間じゃなくってもうまいもんは食いてぇだろうし、なら食わせてやろう!ってのが俺の考えよ」
「そんなんだからお母さんに逃げられたんじゃないの?」
「…お前、気の強さは母ちゃん似だな」
「飯屋の旦那、アンタの娘は立派に育ったな!なぁ、アニキ」
「あぁ、あとは色気が付けばの話だが、まぁ無理だろうな」
「ジンさんはツンデレ?ツンデレなんですよね?だからそんなに辛辣なんですよね?」

そう言う私に爆笑する父とウォッカさんのことは一生忘れないだろう。
あの無愛想なジンさんすら笑ってるときたものだから、この大人たちは酷い。
こうはなるものかと心に決めたのは果たしていつのことだったか。

「…さて、始めますか」

父が亡くなり、一時は閉めていた店も今日からまた再開だ。
絶対に継ぐものかと思っていたのに、こうして数年後に自分が店主としてオープンさせてるんだから世の中何があるかわからない。
リニューアルオープンとでも言っておけば響きはいいだろう。
まぁ、チラシも何もない、目立たない場所にある小さな店だけれど、きっと誰か一人くらい来てくれるだろう。
誰も立ち寄らないような、言われなければ気づけもしない小さな店。
かつてはそういう人たちが集い、美味しそうにごはんを食べていた場所だ。

「まぁ酒は撤去したけど」

酒の扱いのある飲食店だけは絶対に働きたくなかったので、これはもう仕方ないと思う。
かつての常連客に文句を言われて再び置くことになるとも知らずに、オープンと書かれた小さな看板を立てかけた。

ーーーーーーーー

飯を食うためだけに通った道があった。
気前のいい親父が腕を振るう、なんてことない飯屋。
華やかさもなければ特別いいもんを使ってるわけでもない、平凡で地味な飯。
それでもまた食いたくなるような、そんな飯を出す店だった。
数年前に店主である親父が死んでからは店も畳んじまって、いつも店に居た平和ボケしたように笑う娘も消えて居た。
もう通るともないはずの道を通ったのは単なる気まぐれだ。
もうopenの看板が立つはずのないそこに、見覚えのある小さな看板が立てられていた。

「兄貴、あれ…」
「死んだ野郎が帰ってきたってか?」
「でも間違いねぇ、あの店の看板ですぜ兄貴!」

当時を思い出したのか、嬉しそうな声を上げるウォッカはそのまま行ってみやしょうぜ。と店の入り口へと繋がる階段を指差した。
いかにもその筋の人間が好みそうな造りは今でも変わらないらしい。

「たまには地味な飯もいいかもな」

亡霊が料理を作りに戻ってくるなんざありえねぇんだ。
となれば居るのはだれだろうな?
頭に浮かんだのはやはり平和ボケしたように笑う娘の顔だった。

ーーーーーー
うちのジンさんはちょっと丸い性格気味。
下手したら別人レベルかもしれないので、そういうジンが苦手な方はお気をつけを。
ーーーーーーーー


こつりこつりと聞こえる音は恐らく上質な革靴の音。
階段を降りてくる足音は二人分。
聞きなれたその音が近づいてくるにつれ、頬がほんの少しだけ緩む。
なんだかんだ言われても、私はあの人達のことが好きだったらしい。

「よぉ、相変わらず地味な面構えしてやがるな」
「久しぶりだってのに相変わらず色気のねぇ姿だな!」
「冷やかしならどうぞお帰りください!!!」

なんでだ。
久々の再会で開口一番悪口ってどういうこと?酷くない?

「なんだ、折角来てやったってのに冷たいな」
「他に客もいねーのに帰しちまっていいのか?どうせ誰も来てないんだろ」
「ウォッカさんはエスパーかなにかで?というかオープンしたばっかですし、チラシとか撒いてるわけでもないんですから当たり前じゃないですか」

ひっそりと営む小さな飲食店。
隠れ家的存在で、客は裏社会の人間ばかり。
数年前に閉めた店にまた足を運ぶような人がいる方が珍しい。
以前のように彼らは定位置のカウンター席へと腰掛けた。

「まずはいつもの酒から頼む」
「残念ながらお酒はありません」
「はあ?親父がいつも用意してたじゃねぇか。酒を切らすなんざ馬鹿のする事だってお前聞いてなかったのか?」
「じゃあ馬鹿でいいのでお酒はありません」

たしかに父は色んなお酒を置いていたけど、生憎私はそれを置く気は一切ない。

「ただのごはん屋さんへとリニューアルオープンしたんで」

へらりと笑って言えば、何故か今まで黙っていたジンさんがその鋭い目で私を睨みあげた。
この人目で人殺せるだけの威力あるからほんとやめてほしい。本気で怖いから。

「ただでさえ味が地味な飯なのにもっと地味にしてどうする」
「うわ、よくもまぁそんな酷いことを…!いいですか、地味かどうかは食べてから決めてください」

そんなこと言いながらも通い続けたツンデレさんには渾身の逸品をご馳走しようじゃないか!

「…地味さが増してねぇか?」
「ウォッカさんは要らない、と」
「待て待て、誰もそんなこと言ってねぇだろうが!」

出したのは家庭料理のド定番、その名も肉じゃがである。
昔カレーをつくろうとして失敗した結果出来上がった料理とも言われているが、失敗だろうがなんだろうが美味しければオールオッケーってやつだろう。

「…地味だな」
「地味っすね」
「それしか言葉を知らないので?」

一口食べてそう呟いた二人。
なんなの、そんなに地味なの?味が地味ってなんなの?ちゃんと煮込みましたけど。

「ちょっと失礼…ん、ちゃんと味ついてるじゃないですか!染み込んでるしほくほくだし、何処が地味だっていうんですか!」

最初に味見した時だってちゃんと美味しかったし、今だって二人に出した皿からもらって食べたけど同じ美味しさだ。

「まぁ作ったのがお前だからなぁ」
「ウォッカさんは私のことが嫌いなの?いびり上手な継母ですか?」

そう言ってゲラゲラ笑うのはお変わりないようでなにより。

「親父も地味だったがお前も地味なもん作るたぁ、蛙の子は蛙ってやつか」
「お二人が私をディスってることだけはよく分かりました」

そんなに酒ないのが不満か畜生。

「わかりました、分かりましたよ!地味な料理に花添えるためにもお酒置けばいいんでしょう!?」

実はまだ数本父が残していたやつを持ち込んでいたので大人しくそれを出せば、あるんなら最初から出しやがれ。と何故か文句を言われた。
おかしくない?客の要望に答えたんだからそこくらいはお礼言ってくれても良くない!?

「…もうやだ、やってける気がしない」
「俺と兄貴が来てやるからそう気落ちすんなよ」
「余計不安ですけど?」

まぁ裏社会の人間がまともに人の飯食べておいしいとかまともに褒めてくれるわけもないだろう。
そんなのとっくに知っている。

「人生だけは平凡になれなかったな」

フン、とどこか上機嫌に鼻を鳴らしたジンさんは私の求める平凡と私が歩む現実の違いを見事口にしてくれた。

「あの父の子に生まれて望む平凡を手に入れるなんてハナから無理な話だったんですよ」

それでもこの人生を本気で嫌だと思った事はない。

「それに、言ったことなかったですけど案外この人生気に入ってたので」

じゃなきゃ戻って来ませんよ。と笑った私に二人もまた同じように笑うのだ。

ーーーーーー
ただいま。
そんな話。
お父さんは昔裏社会の人間だった。
逮捕歴あるけど、それに関しては冤罪。
ガチでやらかしたやつでは捕まったことねぇぞ!が自慢のお父さん。
娘は大変呆れております。
やっぱ美味いもん食って美味い酒飲んで寝るのが人生の楽しみってやつよ!ってことでいきなり始めたごはん屋さん。
娘は物心ついた頃から店に居たので、料理を作る父しか知らない。
この店はいつも楽しそうだ。
笑ってる父親と客を見て育ったから嫌な思いはしてないかなと。
たまにいざこざあっても最強お父さんが力尽くで黙らせて飯食わせて終わる平和的解決。
それ見て育ったから喧嘩や争い事始めた人の口に銃口突っ込む娘になったんだと思う。
ーーーーーーーーーー


昔、裏社会の人間が集まると噂される店へと行ったことがある。
人通りの少ない、地下に作られた小さな店。
いかにもその筋の者専用とでも言うような佇まいの店は、表の世界であれば隠れ家的飲食店として噂になっていたのかもしれない。
気さくな店主とその娘の二人で切り盛りされたその店は、裏社会の人間が通うというには少しだけ暖かさを感じる店だった。

「成る程、お二人はあたたかいごはんよりも銃弾を召し上がりたいんですね」

それは突然だった。
大したことない言い争い。
互いに水面下に潜めたまま静かに交わしていただけのそれに反応したのは、店の娘だった。
赤井…当時はまだライと呼んでいた頃、奴と交わしていた言葉に反応して銃口を口元へと押し当ててきたその娘は、にこりと愛らしく笑っていた。

「ははっ、あんたらここでは喧嘩も言い争いもナシだからな。じゃねぇとコイツに銃弾食わされちまうぞ?」

豪快に笑った店主はすぐに娘に殴られていた。
そんな裏社会とは程遠い空間のあの店は数年前に店主が亡くなったと同時に閉店したと聞いた事がある。
組織内でも度々話題に上がっていたあの店は、どんなに探りを入れようと口を滑らすことない店主に行っても無駄だと判断してからは行かなくなったが、どうやらまた再開したらしい。
となればあの娘がやっているのだろう。
いつも店主が側にいた為、彼女に探りを入れることは叶わなかったが、店主亡き今は話は別だろう。

「いらっしゃいませ」

かつてと同じように階段を降りた先にある扉を開ければ、あの頃よりも大人びた顔をした彼女がかつてと同じように笑顔で俺を迎え入れた。

「あんなに平凡な暮らしを求めていたのに戻って来たんですね」
「あの父の娘に産まれて望む平凡が手に入る訳がなかったってだけの話ですよ」


ーーーーーーーー
なんだかんだで絡めたくなる男安室透。
いやでもこれはジンとウォッカとの絡みが多いやつだといい。
ただただ平和な空間にしたい。
ベルモットとも絡めたいし、なんならちょっと可愛がられてほしい。
折角女に生まれたんだからってことでおめかししてもらってジンの元へ差し出される店主とかどうですかね。
あと昴さんとはスーパーで偶然出会ってもいい。
偶然見つけた昴さんがわざと近く為に店主が取ろうとしたものと同じものに手を伸ばしてそこから仲良くなるとか。
ジンとウォッカとほのぼのしたくて書いたのに、何故かFBIと公安からは情報引き抜く為に近づかれるっていう。

2018/03/16(23:11)


←prev | next→

※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
top