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▽無題

赤井妹
正真正銘ヒールなクズ
学生Aの観察日記


「友情?努力?勝利?ンなもんクソくらえ!欲しいのは金だ!!」

少年漫画は他所でやれ!と叫んだ女が居た。
それはハイスクール一の問題児の女だった。
まるでヒールのような笑い声を響かせてホワイトボードを蹴り割った女は、転校初日から問題児のレッテルを貼られた変わり者で、またミス赤井かと教師が天を仰ぐのを視界の端に捉えた。

「参加するなら一人でする。勿論賞金も私が貰う。異論があるやつは死ね。ただし野郎限定でな!」

あいつの国の言葉ではなんと言うのだったか、日本に興味を持った姉が好きなキャラがそんなやつだと言っていような…あ、

「…ユイガドクソン?」
「ちげーよ。自己中って言うんだよ覚えとけ!」

小さな呟きだったにもかかわらず、しっかりと訂正をした彼女の顔はやっぱりヒーローとは程遠かった。
っていうか自覚あるのか。

クラス対抗競技を単独参加を決めた彼女は、当然のように一部のやっかみをかったらしい。
ギャンググループの一員と噂されるグループに目をつけられたのか、彼らはいかにして彼女に痛い目を合わせるかの話をしていた。
いくらホワイトボードを殴りわる彼女であれど、数人の男相手はぶがわるいだろう。
本当は声を掛けるのも恐ろしかったが、屈強な男に狙われるのを知っていて無視出来るほど自分は無関心を貫けない。
なんとなく、ほんの少しだけ、あんな風に己の意見を主張できる彼女がカッコいいと思えてしまったからかもしれない。

「へぇ、それは丁度よかった。ストレス溜まってたんだ」

それはまさかの回答だった。
女の子が敵うわけがない、早く先生に相談したほうがいい、君の身が危ないと言っても、彼女はヒールの笑みで言うのだ。

「先に手を出してきた方が悪い」

それは向こうから仕掛けてくることを楽しんでいるかのようだった。
どうしたものかと床を眺めながらなやんでいると、不意に小さなため息が聞こえて顔を上げた。

「まぁ心配してくれたようだし、それに関してはありがとう」

まさか彼女の口からそんな言葉がでると思って居なかった僕は、ひらひらと手を振りながら去っていく彼女を呆然と見つめることしかできなかった。
その背中は、いつか見た不良アニメの主人公の背中と似ていた。
ギャンググループの一員と噂される男たちがボロボロの状態でゴミ捨て場に捨てられて居たと聞いたのはその数時間後だった。
見事に関節を外されて身動きの取れない状態で捨てられていたらしいと聞いた時、やっぱり彼女はヒーローではなく正真正銘のヒールだと確信した。
成る程、ヒールもあそこまで極めるとカッコイイのか。
この日から、ミス赤井は俺の中で最高にクールなヒールとなった。

ーーーーーー
長男に連れ出されアメリカでブチギレ中の長女でした。
母さんの目もないしわ腹立つから学校好き勝手やっていた。
呼び出されるのは勿論長男。
完全無欠のヒールとは赤井家長女のことだ!
本気出したら運動神経バケモノ
人の事バケモノ言うけど一番のバケモノは長女。多分人間辞めてる
ーーーーーーーーーー

「ねぇ、貴女そんなにお金が好きならギャンブルもやっているの?」
「ギャンブル?そんな運だけに身を任せるより、自分で稼いだ方がいいよ」

ジョディの言葉に笑った妹。
俺としてはギャンブルに手を出してくれる方がまだマシだった。
金の為なら犯罪組織にも手を貸す大馬鹿者とはこいつのことだ。
俺の監視付きとはいえ、大人しく従っているのもいつまで続くか…いや、こいつが大人しく従った事は一度もなかったな。
母さんの名前を出さない限り、妹の悪癖は消えないだろう。
微かにこめかみ付近が痛んだ。

「だからってあんまり秀に吹っかけるのは駄目よ?」
「…ジョディが言うのなら善処します」

女に弱いながらも金の亡者である妹の答えは勿論ノーだったが、前向きな意味で捉えたらしいジョディは満足気に笑って頭を撫でていた。
甘やかせば甘やかす程図に乗る馬鹿になんてことをしてくれたものか。

「ジョディ、そのクズは甘やかすな」
「ははっ、女関係クソな兄貴にいわれたくねぇわ」

やはりこの妹に可愛げは存在しないらしい。

ーーーーーーーー

「どーもこんにちは貴方の街の借金取り、レッドバンクでーす」

無駄に明るい声が廃墟に響いた。
強盗犯を追いかけた先に現れたのは、赤井さんの妹だった。

「な、なんだテメー!」
「なんだとは随分と酷いことを仰るーー報酬の受け取りがまだだって言ってんだよ」

ダァン!
問答無用で発砲された銃弾は、強盗犯の持ったアタッシュケースにあたった。
その勢いで地面へと落ちる寸前のアタッシュケースを、気づけば彼女が手にしていた。
…嘘だろ。
一体どれ位の速さで走ったのか、距離があったにも関わらずアタッシュケースが落ちる前に取った事に思わず開いた口。

「これは私の金だ!」
「バーロー銀行の金だ!!」

思わず素で叫べば疎ましそうな視線が俺に向けられた。
犯罪で奪われた金がテメーの金なわけねぇだろ!!
赤井さんがあいつはクズだと言う意味を理解した。
確かにアレはクズだ。

「こっちは情報売ったにも関わらず報酬踏み倒されそうになったんだぞ!この金は私の決まってんだろうがクソガキめ」
「犯罪で奪った金だってわかってんだろ!」
「知るかボケ!この金がどんな経緯で奪われたかなんて私には関係ない。金は金だ!!」

どんな環境で育ったらこうなるんだよ…!
ずっと赤井さんの監視付きで生活をしているはずなのに、正義感のカケラもないクズであることが不思議で仕方なかった。

「…わかった、もしその金を奪って逃げるって言うのなら、今の録音した音声はお兄さんに渡す」
「このクソガキ!人の弱みに付け込むなんてろくな大人にならねーぞ!!」

お前に言われたかねーよ。
どうやら赤井さん腰に悪事の数々を伝えられたくない相手が居るらしく、それを脅しに使えばあからさまに動揺する姿。

「もし大人しくそれを返すなら、録音データは消す」
「クッソ!覚えておけよこのホームズ気取りが!!」

がっしゃん!と捨て台詞と共に金の入ったアタッシュケースを投げ捨てて姿を消した姿に溜息が溢れた。
…赤井さん、よくあんなのの監視を何年もできたな。
俺なら絶対に胃が死んで居る。

ーーーーーー
正義?じゃあ私が正義に決まってんだろうがボケ。とか言いそうなクズです。
赤井だからレッドバンクなんじゃないですかね。ただの借金取り!

2017/06/08(20:35)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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