「AVってファンタジーだよね」

「「っぶ!?」」
「兄さんたち大丈夫?」

放課後の帰り道、口をつけたばかりのジュースを吹き出した二人にティッシュを差し出せば、何言ってんだお前!と兄さんに怒られた。

「ジュース吹き出したのは自分達じゃん!」
「雫、自分の発言振り返ってみ?」
「AVはファンタジー」
「雫!」
「なんで!?唯くんが振り返れって言ったんじゃん!怒るならひーくん怒ってよ」

素直に言っただけなのに。
あと間違ったことを言った覚えはない。

「ていうかなんでそんな話になってんだ?」
「教室でたまたまそういう話してたから、兄さんとひーくんはどうなのかなぁって」
「やめろ!っていうかお前なんでそんな話学校でしているんだよ…」
「たまたま隣の席の男子が振ってきたから」
「そいつの名前フルネームで教えろ」
「まぁまぁ落ち着けよゼロ」

一周目の時もそうだったけど、私のこと男だと思ってるのか普通に振られる話題は別に珍しくはない。
経験はないけど耳年増にはなってしまったので、女性のリアルな体験談も聞かされているし、みんな口を揃えて言っていた。
AVはファンタジー。
まぁガチのメイドさんがご奉仕とかいって性処理までしてくれるとかフィクションの世界でどうぞって感じだ。

「ノーマルな自分の彼女にアブノーマルなプレイで新たな性感帯をはっむぐ」
「頼むから黙れ」
「んー!」

ぱしりと兄さんの大きな手が口を塞いだおかげで言葉は途切れた。
ひーくんは今のはお前が悪いと言って笑ってるだけ。

「お前もうそいつと関わるな。余計な知識入れるな」
「知識はあればあるだけいいって言うじゃん」
「不要な知識は容量の無駄遣いだ」
「ねぇねぇひーくん兄さんの好みは何系なの?」
「いい加減にしろよお前」
「雫は反省って言葉覚えた方がいいぞー?」

今日の夕飯はお前だけ目玉焼きだから。と無慈悲なことを言い放つ兄に必死に謝りながら、家で探しても見つからないから学校で見てるのかな?という余計な言葉は言わないでおいた。
ひーくん、私ちゃんと反省できてるよ褒めて。




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