青の破軍

3


まさかのカミングアウトで、私は酒盛りするテンションが下がってしまった。あれだけ無邪気に女気がないって言われると、さすがに傷つくよね。

結局、シャワーだけ浴びて終わってしまった。

ま、まあ、朝っぱらからお酒飲むのもあれだしね。うん……。べ、別に悲しくなんかないからね!


『アイリン、アンモニア溜マッテル』

「アンモニア?」

『落チ込ムト、アタマニ、アンモニア溜マル』

「えっ、そうなんだ」


始めて知った。なんかアンモニアが頭にたまるとか嫌だな。

髪の毛をかわかしたら、午後は必要なものを買いにいくために町へ行く予定だ。

宇宙へはあと2、3日で上がるし、長旅になるからね。女の子に必要なあんなものやこんなものを買い揃えておかないと。クーデリアお嬢さんのためにも。

そのためにはまずリーダー……もとい、団長のオルガに許可をもらって、お金をひったくってこないと。

……そういえば、私CGSで給料とか貰ったことないや。つくづくブラック企業だなここ。

どこにいるんだろうかと、ハロとふたり(ひとりと一機? 一匹?)で探したところ、ようやく社長室近くの廊下で会うことができた。

オルガは書類片手に、目線を落としながら廊下のはじっこをゆっくり歩いていた。私が声をかけるとこっちを見て少し口元を緩める。


「よおアイリン、……って、なんだ、そいつ?」


オルガは私の隣にいたハロを見た。ハロは、ぴょこぴょこと私の胸あたりまでジャンプしている。ロボットかこんなに跳ねるなんて不思議なんだろう。

私は手短にハロの紹介をした。するとオルガは「そりゃあ、すげえハイテクだな」と感心したように言った。


「ねえ、今日町に買い物いっていい?」

「なんでだ」

「なんでって、女の子には買わないといけないあんなものやこんなものがあるから」


オルガは、さっきよりも不思議そうな顔して首をかしげた。


「そんなものあんのか? そいうのは、ガキ共に任せればいいだろ? お前はやること色々あるんだから」

「……」


いくら子供だって、あんなものやこんなものを男に任せられないから言ってるんじゃないか。そういうところはシノの方がデリカシーあるぞ。察してよ。

曇りのない純粋な顔がさらにイラつく、このチェリーボーイめ。

クーデリアお嬢さんのことも口にしたけど、オルガはきょとんとしてるだけて、納得してもらえなかった。

どうして町に出る許可を貰おうかとと悩みに悩んだ結果、私はHi-νガンダムの部品が足りないと嘘をつくことで了承を得た。昨日完全に直ったって言ったばかりだから、少々苦しかったけど仕方ない。


「そうだオルガ」

「ああ?」

「おこづかいちょーだいっ」

「お前性格変わったか?」


オルガは訝しげに私をにらんだ。


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