酒は飲んでも


「小太郎さぁ〜ん」
家に帰った途端、くったりとしなだれかかるように自分に擦り寄って来た恋人を見て、桂は仰天した。
いつもなら絶対にこんなことは自分からしないし、ちょっと触れただけでも恥ずかしがって赤くなるようなモリが、甘えた声を出して自らくっついて来るなんて、いくら桂といえども予想外の出来事に他ならなかった。
擦り寄ってきたモリの体から酒独特の匂いが仄かに立ち上り、桂はモリが異様な程酒に弱かったことを思い出す。
「モリ…酒を飲んだな」
「エリーが、持って帰ってきて…一緒に飲みましたぁ…」
舌っ足らずな喋り方に潤んだ瞳、わずかに開かれた唇から漏れる吐息。
どれを取っても普段のモリより桂の情欲を刺激した。
だが、ここで押し倒しては後からモリに何と言われるかわからない。
酔いに任せてというのはやはり良くな…
「シましょう、小太郎さん」
「な、あ…モリそれは一体どういう」
「…モリ、小太郎しゃんと、気持ち良いことぉ、シたい…です」
くない。良くなくないぞ……同意の上なら、問題なかろう。
いつものモリなら考えられないような誘い文句に、桂は理性も自制も投げ捨てて寝室へと向かった。
性急に布団に押し倒して唇を奪えば、いつもは奥で縮こまっているモリの舌が自ら桂の唇を割り開き、舌を絡めようともぐりこんできた。
「んっ……んむ、ちゅ、ちゅうっ」
「は、モリ……」
名残惜しそうに銀糸が離れた唇同士を繋ぐ。
モリの唇はどちらのものともつかない唾液でしっとりと濡れていた。それをゆっくり舐めとるモリ。
「小太郎しゃんの唾液、おいしぃ…」
もっと、とせがむモリの瞳に桂は勃ち上がり始めた自身を晒した。普段とはまるきり違う恋人に、これほど興奮していたのかと自らも驚く。
「モリ、もっと美味しいものをくれてやろう」
にやりと、桂はいやらしく笑った。


あぐらを掻いた男の股間に、少女が頭を埋めている。
一生懸命に肉棒をしゃぶるその姿は、誰の目にも淫猥な光景に映るだろう。
「じゅぱッ、じゅっぽ…こ、たろしゃ、ん……きもひぃ?」
「くわえながら喋るな……っあぁ、そうだ。もっと手で、袋を揉んでみろ」
「ふぁい……ほう、れふか?」
「くっ…いいぞモリっ…それでもっと奥まで……そうだッ!……は、出るっ!!」
がっ、とモリの頭を掴むと自らの股間に押し付け、モリの手によって高められた快感を放った。
「ふむぅっ、んーーーーーー!?」
びゅくびゅくと流し込まれた桂の精液が、モリの口内を犯していく。
ごく、ごく…と数回に渡り精液を飲み干したモリは、欲情濡れのとろんとした瞳で桂を見つめた。
「ごちそおさまでした。あの…こたろ、さん」
「なんだ、モリ」
「今度は、モリの…下のお口に……せーえき、飲ませてくだしゃい」
上目使いにたまらなく淫らにおねだりされ、桂は再びモリを布団に勢いよく押し倒した。
萎えたはずの剛直は、未だ反り返ったままだ。
いつもの恥じらう姿もいいが、たまにはこんな淫らに誘う恋人も良い。
酒の力は偉大だ、と改めて感慨深く思う。
「モリの下のお口はいやらしいな…触ってもいないのにトロトロになって」
俺のをしゃぶっただけで感じたのか…。耳元で囁かれた言葉に、モリは体を震わせた。
「あっあぁっ、指、だめぇっだめ、なのぉっ!!」
ぐっちゃぐっちゃと三本の指が中を掻き混ぜる度に、快感が波のようにモリを襲う。
「だめ?嘘をつくな。いや…良すぎてダメなのか。ふっ、いいぞ、もっと乱れてみろ」
「んやぁッ!ふああぁっ気持ちいぃの、小太郎しゃんっ……イっちゃうよぉお!!」
ぷしゃッ。背を弓なりに反らせガクガクと震えると、潮を噴きながらモリは達する。
透明でサラリとした液体は、桂の手を濡らし、モリの後孔までも濡らしていた。
かつてモリがここまで乱れたことがあっただろうか。いや、ない。
酒の力万々歳である。
「…はぁ、ん…小太郎しゃんの大きいの、モリに、ちょぉ、らい?」
どんどん呂列が回らなくなってきている気がする。…だが、それがいい。
桂はもっと乱れるモリが見たくて、もう少し意地悪することにした。
「大きいの?…ちゃんと言わなければわからんな」
つ…と濡れた指先で唇をなぞると、閉じかけていた隙間がほんの少し開く。
その口から俺は聞きたい…熱っぽく囁かれた一言にモリの箍が外された。
「こたろ、しゃんの…ぉ、おちんちんが、欲しいです…」
「俺のおちんちんでどうして欲しいんだ?」
もう少し…、桂はモリを辱めようと粘る。
「小太郎しゃんのおちんちんで、モリの…えっちな、ぉ…おまんこ、ずぷずぷしてくらしゃいぃっ!」
ずぷぷぷぷぷぷぷぷッ!
「ひアああァああぁアんっ!?」
まさにクリティカルヒット。桂はたまらなくなって一気にモリを貫いた。
「この、淫乱がっ!自分から誘ったんだからな。どうなっても俺は知らんぞ!」
「はあァんっンッ!いいっ、こたろしゃんのおちんちん…きもひいいのぉッ!」
どうかなるのは俺の方だ…。
桂はモリの姿に一段と力強く腰を打ち付ける。
ずぷぷっぱんっずちゅっ!
腰を打ち付ける乾いた音と、結合部から沸き立つ濡れた音が響く。
「乳首もクリもビンビンに勃たせて…はしたないぞモリ。潮まで噴いて、そんなに俺のが良いか」
「いいよぉっこたろしゃんのおちんちん!もっと…もっとぉッ…はうンッ」
モリの乳首を口に含んで舐め回し吸いあげると、肉棒をくわえこんだそこがきゅうきゅうと締まった。
たまらず腰を突きこめば、モリの口からは悲鳴染みた矯声。
「ああぁあぁっ…だめぇっおっぱい吸っちゃいやあぁッ!イくっイっちゃうのぉおっ」
「…くっそんなに締めると……モリっ出るっ!」
びゅっびゅるるっ!
勢い良く爆ぜた男根から大量の精が注ぎこまれる感覚に、モリはひくひくと震えながら恍惚としていた。
どうにかなってしまいそうな快感が、体中を駆け巡る。
大好きな人に愛されたまどろみで、モリはいっぱいになった。
「こたろしゃん…しゅきぃ……」
幸せそうになモリの可愛い言葉に、萎えたはずの桂自身がむくむくと頭をもたげる。未だささったままのモリの中で、体積を取り戻そうとしていた。
「俺もだモリ………というわけで第二ラウン……」

言いかけて、気付く。

「モリ?…おい寝るなモリ!」
「しゅきぃ……こたろ、しゃぁん……んぅ」
それきり、モリは愛しい人の腕に抱かれて眠りについてしまった。
酒の眠りを誘う成分と幸せな気持ちのせいだ。

結局、桂が一人寂しく抜いたのは言うまでもない。


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