がくえんてんごく


うら若き乙女が健康な素肌を存分に晒してスポーツに勤しむ姿は、いろいろな意味で目を引く。
一生懸命に汗を流し活動する健康的な姿は彼女たちを魅力的に見せ、思春期の男子生徒たちにとっては素晴らしく刺激的だった。
教師であるグラハム・エーカーもまた同じく、一人の少女に目を奪われていた。
「モリ…?」
一人だけ遅れて列の最後尾を走っている。手を抜いているようにも見えた。
おかしい。モリはそんなことをするような子ではないはずだ。
いつも一生懸命で前向きな人柄は、彼女の美徳だ。友人も多い………恋人としては残念なことに、懸想をしている男子生徒も多いと聞く。
体育が別段得意だというわけではないが、それでも彼女に限って手を抜くようなことは考えられない。
モリに余程の理由があったのだとグラハムは思った。
チャイムが授業の終わりを告げると、生徒は皆更衣室へ向かって歩き出した。その中にはもちろんモリの姿もある。
「古野、少しいいかな」
「え…はい、いいですけど」
廊下を歩くモリを見留めたグラハムは、そのまま彼女を呼び止め、生徒指導室へ連行する。
端から見ればただの教師と生徒だ。用事があって手伝わせるとか、その程度のことしか思われはしない。
「エーカー先生、どうして…」
「君に聞きたいことがある。それから、二人の時にはグラハムと呼ぶように以前言ったと思うが」
後ろ手に教室の鍵を閉めながら、グラハムはモリを見据えた。
無機質な机が二つ向かい合わせで置いてある横にモリは立ち、不安そうな表情でグラハムを見つめている。

「率直に聞こう。何故手を抜いて走っていた?君はそういうことをしないと思っていたが」
「見て、たんですか…」
驚きと困惑がない交ぜになった複雑そうな声音。見られたくなかった、という響きが滲んでいる。
それがグラハムにはわかった。
「走り方が不自然だった。別にモリ、君を責めているわけじゃない。私は…心配しているんだ」
「心配、ですか?」
「どこか怪我をしているんじゃないか、体調が悪いんじゃないか、と。過保護だと君は思うかもしれないが」
聞いた途端、モリはちょっと困ったようにはにかんだ。グラハムには目が泳いでいるようにも見えた。
何か、言いにくいことに違いない。だが…
「モリ、私は君が心配なんだ。何かわけがあるんだろう?」
教師として、恋人として、心配の種はなるべく取り除いておきたい。
グラハムのいつになく真面目な表情に、モリは躊躇いがちに口を開いた。
「………その、走ると胸が痛くて」
「怪我をしてるのか!?」
心配そうに肩を掴んできたグラハムに、モリは慌てて否定する。
「そうじゃありませんっ大丈夫です…けど、走ると胸が揺れて…痛いんです」
グラハムが安堵したのも束の間、モリの答えは実に難しい問題だった。
成長途上の胸は、強い負荷がかかると痛みを催す。走るだけでも結構な痛みがあるのだ。
二秒程逡巡して、真面目なエーカー先生は変態ハム先生へと切り替わった。
「そうか。私が責任を取らなければならないな…」
「別に先せ…グラハムさんは関係ないんです。私のことですから。責任なんて……はひゃっ」
唐突な刺激に思わず声が上がる。
グラハムの右手が体操服の上からモリの胸を鷲掴んでいた。モリの胸に走る鈍い痛み。
「そうだろうか。私が毎日可愛がるせいで、痛いほど発育するのだろう?ならば…」
「痛っ、ひやッあッ…だめぇ!」
「マッサージで解したら少しは楽になると思うのだが、どうかな?」
素早い身のこなしでモリの背後に回ると、そのまま男性らしい大きな手の平で乳房を柔らかく包み込んだ。
ぱちん、と音がしたかと思えばブラも外されて、薄い体操服の上からグラハムの手の温度が伝わる。
「こんなところで……先生やめてくださいっ」
「マッサージだ。変なことをするわけではない。それにモリが苦しんでいるのを私は放ってはおけない」
しれっと言い返したグラハムに、モリはそれでも抵抗した。
たぶん、この教師は学校で変なことをするつもりだ。なんとかやめさせなくては。
「せん、せっ…マッサージはいいです、もういいですから、やめてくださ…あぁんッ」
「解すつもりだったんだが、どうやら硬くなってしまっている場所がある」
しなやかな指先が、体操服の上からポツリと浮き出た突起を摘んでいた。
絶対変なことを、えっちなことを先生はするつもりなのだ。

モリが確信を持つ頃には、もう手遅れだった。

確かに男の手つきはマッサージと呼べるものだ。
下から皮膚の張りつめた乳房を丁寧に解し、絶妙な力加減で揉みしだいていく。
抵抗のためにグラハムの手に重ね合わせたモリの手は、グラハムの動きを遮るどころか既に添えているといえるまでだった。
「あうっ…ひゃ、そこ、そこだめですッ」
「ここが一番硬いのだが?硬くなっているところは解すべきだ」
「ん、だめです、先生ぇ……はうぅ」
体操服の上からの愛撫。
グラハムが指先を滑らせるたびに硬くしこった先端と少しザラついた生地の体操服が擦れ、モリに淡くもどかしい快感をもたらしていた。
「下着を着けているときより大きく感じる。下着で押さえつけていたのか?」
「だ、だって、最近急に…ですから、…その、買えなくてっ、ふぁああッ!?」
きゅっ、と男の手が小さな粒を押し潰す。直接ではないためそれほど痛くはないが、今までの淡い刺激とは違う、痺れるような甘い快感だった。
「それぐらい私が買う。モリは、私が下着の一つも買えないような甲斐性無しだと思っていたのか。心外だな」
体に合わないものを着けているから、痛むのだ。
モリが痛い思いをすることはグラハムにとっても嫌なことに他ならず、常々頼るように言ってはいるがあまりその機会は訪れない。
親しくありたいと思うのに、確実に遠慮されている。
「どうしてだモリ」
「先生…?」
グラハムは困ったように続けた。その切なげな響きは、モリの女としての感情をひどく刺激する。
「もっと私を頼ればいい。下着は、いや…その、確かに言いにくいことだったかもしれない。だが、私は君にとってそんなに頼ることのできない男なのか」
「そんな……あっ、ひゃぅんッ」
体操服の裾から侵入してきた手はひんやりと冷たく、火照ったモリの皮膚の上を滑るように撫でた。
くにくにとマッサージで尖った小さな先端を直接指で弾く。
「私と君が他人だというのかね。こんなことをしているのに?」
「ひやっ、あ…グラ、ハムさん…」
先生ではなく男として、この名を呼ばれた。
もう抗議や抵抗は含まれていない。甘えるような、艶やかな色の声音。
「遠慮なんてしなくていい。もっと私が欲しいのだろう?」
「ひ、ぁ…グラハムさん…!」
抱きしめながら耳朶を食めば、腕の中の存在が小さく震えた。
桜色の小さな唇から絶えず吐息を漏らす姿は、少女と思えぬほど艶かしい。
「ちゃんと言わなければ、わからないだろう?」
「あ、くぅぅっ…胸、だけじゃなくて…」
「そうだ、言わねばわからない」
潤んだモリの瞳が、余裕綽々なグラハムの姿を映す。とたんにモリは言葉が出なくなった。
「どうしたモリ、このまま胸だけでいいのか」
後ろから覗き込むように視線を合わされて、益々モリの羞恥心は大きくなる。
「グラハムさん、意地悪しな…ひあ、あぁぁん!?」
ぎゅっ、と胸の頂きを引っ張られたばかりか、そのまま指の腹で捏ね上げられてしまい、まともに喋ることすらできない。モリがガクガクと足を震わせていると、それを支えるような素振りでグラハムの長い足が割り入ってきた。
「ここが、切ないんじゃないのかな」
グラハムは自身の固い太ももでグリグリとモリの股間を押し上げる。少しやりすぎている気もしたが、彼はやめなかった。
じわじわじわじわと少しずつ快楽を加えていく。モリが羞恥心を捨て、自分を求めてくれるまで。
そしてついに、その時はやってきた。
「グラハムさ、んくぅぅ…いやぁっ!も、う」
「ここに私の硬くて大きなモノが欲しいのだろう?」
「は、い…欲しいです……!グラハムさんの、いれてぇっ…」
切羽詰まったモリの声音。だが実は余裕がないのはグラハムも同じだった。
普段は遠慮や恥じらいから自分に何かを求めるなどしないモリが、半ば強引に言わせたとはいえ挿入をねだるなんて。
「モリ、そこの机に手を着いて」
彼女が言った通りの姿勢になると、グラハムは迷いなく短パンごと下着をずり下ろした。モリの柔らかな臀部と秘処が彼の目の前に現れる。
見てわかるほどに濡れそぼったそこは、もう慣らす必要もなさそうだった。
モリの腰を掴み、グラハムは猛る肉棒を入り口へと宛がう。先端が僅かに挿入されたと思った瞬間、
「モリ…!」
「グラハムさ、あぁぁぁぁぁんッ!?」
じゅぶぶんっ!
一息に奥まで貫かれる。モリは悲鳴のような声をあげて絶頂に達した。
「挿入しただけでこんな風になるなんて、随分といやらしい体になったものだな」
あまりの衝撃にぐったりとしてしまったモリを抱き抱えるようにして支えながら、グラハムは愉しそうに笑う。いやらしい体にした犯人なんて、当然自分以外にいないのだが。
この少女を開拓するのは、自分ただ一人だ。
「さて、モリ…」
「は、う…まだ動いちゃ…あっやぁ……」
「私が我慢弱い男だと、知っているだろう?」
「でも、今されたら…おかしくなっひゃううぅッ」
息も絶え絶えなモリの制止もきかず、グラハムは抽挿を始めた。
「はひっ、あァ!やぁ…!」
腰を高く抱えられているせいで、モリの足は地に着いていない。目の前の机にしがみつくことでなんとかやり過ごしているが、グラハムが一突きするごとに襲いくる快楽は恐ろしいほどだった。
不安定な姿勢で滅茶苦茶に中を突かれる。
「…子宮が降りてきている」
「あ、あ゙ー!奥、奥はだめぇっ…」
グラハムは自身で少女を深く貫いたまま、気づいたように呟いた。
肉棒の先端にちゅうちゅうと吸い付くものがある。今までにない反応だ。
「つまり…モリの体が私の子種を欲しがっているということだな」
「グラ、ハムさん…それ、や、いやぁ……はひ、ひィィ!」
ぴったりと腰を合わせたまま、グラハムは小刻みに揺するような動きを繰り返した。子宮口をねっとりと捏ねあげている。
モリの意思とは関係なく、体は従順にグラハムの意図を汲み取った。
「うっ…モリ……!」
「あ、あっ!おっきくなっ…ひうぅぅっ」
モリの体は突き入れられている肉棒の根元から先端に向かって、射精を促すべく搾りとるように締め付けている。
少女から女へと変わった淫らな要求に、グラハムもたいした抵抗はできなかった。
「モリは、ここも弱かったな」
「い゙っ…やめ、やめてくださっ」
一際狂暴な快感がモリに襲いかかる。モリの前側に手を伸ばしたグラハムは無遠慮に敏感な肉芽を摘み、指の腹で擦り合わせたのだ。
開拓されたばかりのモリの体には、子宮を捏ねられながら肉芽を嬲られるなどとても耐えきれるものではない。
「ひィ、あ、あっ!」
最早訳もわからず眦から大粒の涙を溢すモリをきつく抱き締めると、グラハムは最奥へと剛直を叩きこんだ。
「種付けされてイくといい…!」
「グラハムさん、グラハムさ、あ゙ァァァァッ!?」
びゅっ、びゅうぅぅぅ!!
子宮に熱い精子を流し込まれて…、モリはそのまま意識を手放した。


「というわけなのだがカタギリ、彼女にはどういう下着を贈ればいいと思う?」
「“というわけ”じゃないだろう!突然古野をここに運んできたかと思えば…」
「何を怒っているんだカタギリ養護教諭」
君に怒っているんだよ!と怒鳴りつけようとして、カタギリはここは病人の集う保健室だったと我に返った。今は先ほど目の前の男によって運びこまれた古野しか生徒はいないが。
「だいたいね、君と古野は教師と生徒なんだ。本来なら古野が卒業するまで待って…まして校内でコトに及ぶなんて!」
「カタギリ、私は我慢弱い…」
「だろうね!」
全く悪びれた様子のないグラハムに、カタギリは何を言っても無駄だと悟った。なげやり気味に言い捨て、カタギリはグラハムの相手をやめ、机に向き直る。後ろで悠々とソファに腰かける彼が憎らしい。とは思いつつも、カタギリは頼まれた通り早退届を作っているのだから笑えない。
「病状は貧血でいいかな。体育のあとエーカー先生の手伝いをしていたところ倒れた、と」
「あぁ、実に自然で正当な早退理由だな」
「まったく…」
古野は日頃真面目な生徒だし、グラハムの担当教科の教科係だし、たしかに何も理由に問題はないが、それを偽造しろと言ってきた本人に言われると腑に落ちない。
コツ、と背後で立ち上がる革靴の音が聞こえた。
「もう行くのかい?」
「午後の授業が始まる。…その前に、私の眠り姫の顔を見ていこう」
「相変わらずだね、君は」
気障な言い回しに呆れつつも、グラハムの瞳が優しい色をしているのを見留めて、それ以上言うことはない。
「早退にしてはいるが、帰りは私が送っていくからそのつもりで頼む」
「はいはい。…下着のことは、僕がそれとなく相談に乗ってみるよ」
「感謝する、カタギリ」
そう言って古野の眠るベッドの傍らに立つと、グラハムの風貌も相まってか、本当に童話の眠り姫さながらだ。


この二人にもハッピーエンドが訪れることを願って。


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