ここのところ、二、三ヶ月ぐらいだろうか、私は妙な夢に悩まされている。

 気味が悪いとか、恐怖を覚えるものではなく、かと言って楽しいとか面白いとか、そういう類いの夢ではない。

 とある漫画雑誌で連載されている、少年が海賊王を目指して仲間と共に冒険していく物語。レギュラーではないけれど、その物語で登場した白髭海賊団の一味である数名が、日替わりで夢に出てきては、何故か自分と体を重ねている。そんな夢なのだ。

 昨夜はサッチだった。その前日はイゾウで、その前はマルコ。更にその前は、確かエースだったと思う。

 目が覚めると、どんな内容だったのか等の、具体的な部分は思い出せない。けれど、夢特有のぼんやりとした感覚の中でも、触れ合う肌からは暖かな体温を感じていた。――でも決まって、最後まで至るまでには夢から覚め、繋がる事はない。

 そんな夢を見だしたのは、いったいいつからだったのか。見ない日もあれど、その頻度はほぼ毎日、日替わりのように一人づつ夢の中に現れる。

 彼らが登場する漫画の知識は、いちおう人並みには有るけれど、だからといって特別に好きだというわけではない。
 いつの頃だったか、友人との会話中に、好きなキャラは? と問われた時、無難にチョッパーと答えた事があった。“無難に”と考えてる時点で、私があの作品に対する興味の深さとは、その程度でしかない。

 物語は面白い。登場人物は格好良いし可愛い。漫画は友人に進められて途中まで読み、以降はアニメで追いかけていた。
 仮に、主人公である少年らが夢に出るならばまだわかる。どうして原作ですら滅多に出ることのない彼らなのか。
 そもそも、エースは主人公の少年の兄だし、マルコはマリンフォードでの不死鳥姿が印象に残っていたからわかったものの、サッチとイゾウに関しては、最近まで誰なのかわからなかったくらいだ。その程度の認識で、何度も夢に出る程とは、なんでなのだろう。

 原因や理由は今までに何度も考えてみたけれど、これといったものは一向に浮かばなかった。
 ここまで来るとある種、怖いくなってくる。

 ふと、欲求不満なのかと思い付いた時があったけど、年齢=彼氏無し歴な私がリアルでそういう体験をしたことがあるはずもなく……。
 満たされた状態すら知り得てないのに、はたして“不満”になるのか? そう考えたら、欲求不満でというのは、おそらく違うのだろう。

 何とも言えない妙な羞恥心と、背徳的な気分が、目覚める度にじわりじわりと襲ってくる。
 最近では眠る事が億劫に感じるも、寝ないわけにもいかず、今日も睡魔に抗えるだけ抗ってから、私は眠りにつくのだった。
 








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